岩手県で2大バス事業者である「岩手県交通」と「岩手県北自動車」。地方ならではの特徴がある2社の方向幕を解説していこう。
(記事の内容は、2026年3月現在のものです)
執筆・写真/高木純一
※2026年3月発売《バスマガジンvol.132》『方向幕の世界』より
■あえて手書きにする方向幕の意外なメリット
岩手県交通の方向幕は、全国的にも珍しくなってきた「手書き方向幕」を2000年代でも使用していた。経路変更時に手書きで変更する事業者はあれど、全コマが手書きコマの方向幕は大手ではここが最後だと思う。
車両によって表示面積や幕幅が異なるため、印刷業者に頼むより手書きの方がフレキシブルに作れるメリットがある。盛岡市内は系統番号が付番されたのを機に印刷の幕が普及し、その頃でも手書き幕は郊外の営業所の車両に使われていた。
印刷の幕でも初期のものは、厚フィルムでインクジェット紙のような材質の印刷面にプリンターのような印字機で印刷したものを使用していた。本格的な印字幕(他社同様のもの)を使用すると同時に表示機の全自動化を行った。
それまでは運転士の手による手巻き(モーターによる目押し電動を含む)で動かしていた。印刷仕様の字面のフォームは多様で、角文字もあればカラーコマもある。基本は黒文字または灰色がかった水色文字と経由地や仕切り線が赤色で表現される。
表示機は、基本的に中古車両はついている表示機に合わせて幕が作られ、自社発注車は時期によっていろいろなメーカーのものが使われる。
2000年までの車両は路線車は前面が分割式になっていることが多く、市内車は系統番号部に系統番号幕が入れられ、郊外車はそこに幕を付けずに機械が付いているだけの状態で使われていた。
岩手県で大手のもう一社である岩手県北自動車は、岩手県交通とは逆に幕のフォームは統一されており、青文字をメインに経由地を緑色文字、矢印や回送などの種別をオレンジで書く。
ベタカラーコマは無い。表示機は東洋ライト製で統一されている。早くから連動式を採用しており、高速車も連動式である。
後面幕はごく一部を除いて無い。系統番号の記載がされている幕は時代的に無く、側面幕はセミワイド幕は経由地を縦書きに書くが、並サイズタイプの側面幕は全てが横書きになる。
高速車などは車両によって幕のサイズが数種類あったりする。これは岩手県交通でも共通なのだが、郊外路線では貸切車や高速車が路線車落ちして使用されることも多く、高速車サイズの路線バスコマを装備しているため、車両によってコマの内容が違うのは地方ならでは、なのである。
【画像ギャラリー】手書き文字の味わいがシブい岩手県交通とカラフルで目にも鮮やかな岩手県北自動車……岩手の2種の方向幕(8枚)画像ギャラリー










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