■見晴らし抜群の2階席は 優越感を覚えるほど気分が良い
試乗車は2001年登録車。JRから譲り受けた3列シートの高速路線仕様。記者にとってキングの運転は初。
しかも搭載エンジンの8M21はV8OHV自然吸気の 21 .2L。08年に復活を果たした最終型では、6M70の12.9L直6OHCインタークーラーターボエンジンに換装されていただけに、往年の最強エンジン車を運転できたのは、実に光栄な体験だった。
ちなみに試乗車V8の最高出力は430ps /2200回転。最 大トルクは155㎏m/1200回転。最終型は同様に420ps/2000回転と185㎏m/1100回転。ミッションはいずれもOD付6MTだ。
運転席はハイデッカーよりも低い位置にセットされ、頭上には天井(2階フロア)があってやや窮屈な雰囲気。アイポイントも低く、かつてのエアロクィーンIIやIIIの運転席を思い出す。1階キャビンは右側に2座シートと左側は横向きソファに改造されていたが、仕様によっては対座シートもあった。
2階は3列独立シートの30人乗りスペース。深いリクライングとオットマンを備 えた豪華シートで、ほかのハイデッカーを見おろせる程の絶景。素晴らしい乗り味が楽しめた。
■17 年前のモデルにしては 運転席はなかなかの豪華さだ
さて、アイポイントの低い乗り味はすぐに慣れるが、全高3.8mの高さが把握できない。感覚的に判断できる車体にプラスして、2階部分の存在をシッカリと頭に入れておく必要がある。ガード下の高さや路側に張り出す木立にも要注意だ。
アイドリングは550回転。 2速へシフトし基本通りクラッチミートしてからアクセルを踏み込んで行くと、柔軟なトルクが発揮されて難なく発進していく。その様はまさに悠然たる出力特性が発揮されて実に頼もしい。
大排気量NAエンジンならではの底力がある。800から1600回転がグリーンゾーンで、レッドは2350回転から。トップ時速100㎞クルージング時のエンジン回転数は1700回転だった。
トルクゾーンがワイドで極低速域でも十分にネバリ強い。吹き上がりや回転フィーリング、そして車重も重い印象だが、じわじわと継続するスピードの伸び感は好印象。
ギヤシフトの選択にも融通が利く。感覚的にも常に力半分で走っているかのようなゆとりを覚えた。高速ではさすがに3軸車の安定感が際立つ。直安に優れ、ロールも驚く程少なく快適。最後輪は自然操舵機構があり、意外なほど小回りが利く扱いやすさも印象的。改めて3軸車の長所も再確認できた。
【主要諸元】◆三菱ふそうエアロキング MU612TX◆
全長 11990mm×全幅249mm×全高3770mm
ホイールベース 5650mm
エンジン 出力430ps/2200rpm・トルク155kgm/1200rpm
新車時価格 約5600万円
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