そのポテンシャルは充分!! オノエンスターEV7m車は姿も走りっぷりも未来的だった

フル充電で150~200kmは走れる性能。路線バス1日分の運行距離は充分カバー

クルマ椅子用のスロープは、床下にスライド格納されている。使用時にはニーリングで車高を下げ、スロープ板を引き出すことでセットできる
クルマ椅子用のスロープは、床下にスライド格納されている。使用時にはニーリングで車高を下げ、スロープ板を引き出すことでセットできる

 今回は輸入通関後に搬送されてきたEV7mの1号車で、納車前検査点検作業の真っ最中。慎重に作業が進められる中のシェイクダウンテストに便乗させて頂いた。

 まず運転席はクッションに十分な厚みのあるハイバックシート。肩のところから取り出して身体にフィットする3点式シートベルトの存在が嬉しい。安全・快適に仕事に従事できる環境が提供されている点から大きな価値があると思えた。

 また乗降口の地上高は345mmと低い。もちろんさらにニーリング機能もあるほか、ロードクリアランスを高める機能もある。そして車椅子用のスロープはフロア下部に収納されていて、引き出して使う方式。スッキリ収納されているだけでなく出し入れの操作性も賢く設計され、扱いやすいものだった。

給電コネクターはボディの左後方に配置されている
給電コネクターはボディの左後方に配置されている

 イグニッションキーをONにしてセル始動と同じ動作をすると、スタンバイモードになる。後はインパネにあるDボタンを押すだけ。右手でサイドブレーキを解除してアクセルを踏み込めば、GVWで10トンになる車体はいとも簡単に発進し加速トルクの不足もない。

 登坂路でもまるでへこたれることはなかった。変速装置は持たないので常にスムーズな走りが簡単な扱いで発揮できる。右足だけの操作具合いで、乗客に優しい穏やかな走り方に専念できるのだ。

 アクセルを戻した時の回生具合は想像よりも弱く、減速停止にはエアブレーキを踏む。その意味でも操作性に違和感を覚えることは少ないだろう。

後部リッドの上部は観音開き式で、内部にはバッテリーを格納する。リッドには排熱用のファンが付いている

 フル充電で150~200kmは走れるというのも驚き。エアコンの使用や渋滞等、条件を悪く見積もっても100kmは走れそう。路線バス用途としては1日分の運行を賄うには十分な性能と見た。

 ちなみにポンチョEVの航続距離は公表値で30km。実際の運行現場では10km程度走って充電を繰り返す使い方をしているそう。その点オノエンスターEVはかなり実用的である。

 あとは現在未決の価格設定がとても興味深い点だ。あくまで筆者の推測だが、ポンチョEVの導入に必要となる約8000万円の資金を投じれば2~3台は買えてしまうのかもしれない。それ程廉価でなくても価格面での大きな革新にも貢献するだろう。

後部リッドの上部は観音開き式で、内部にはバッテリーを格納する。リッドには排熱用のファンが付いている
後部リッドの上部は観音開き式で、内部にはバッテリーを格納する。リッドには排熱用のファンが付いている

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