世界的な半導体不足によりすでに無記名の「Suica」及び「PASMO」カードの発売が一時中止されているのは既報の通りだが、ついに記名式も発売中止に追い込まれた。詳細を見てみよう。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
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■いまだ半導体が手に入らない!
世界的な半導体不足の影響を受け、6月8日(木)より無記名の「Suica」及び「PASMO」カードの発売を一時中止している。カード製造メーカーと今後のカードの製造計画について協議を継続しているとのことだが、現時点においても不透明な状況であるという。
今後の定期乗車券等の新規発売、紛失時等の再発行サービス継続に必要な在庫を確保する必要があることから、8月2日(水)より記名式のカードについても発売を中止した。
期間は定められておらず当面の間とされており、事態の深刻さがわかる。今回新たに発売が中止されるのは、記名式の「Suica」、「モノレールSuica」、「りんかいSuica」及び「PASMO」カードの新規発売だ。
なお発売は継続していた短期間の訪日外国人旅行者向けICカード乗車券「Welcome Suica」についても、今後の製造計画が不透明であることから、8月2日(水)より発売箇所と発売枚数を制限し、一人1枚限りで成田空港駅、空港第2ビル駅、羽田空港第3ターミナル駅の駅たびコンシェルジュ、成田空港駅、空港第2 ビル駅、羽田空港第2及び第3ターミナル駅のWelcome Suica専用発売機でのみ発売する。
東京都交通局の場合を例にすると、「定期券」「PASMO企画乗車券」「バスの持参人式PASMO定期券」等の一部の無記名の「PASMO」カードは、引き続き購入できる。また交通局ではあらかじめチップが内蔵されているスマホで利用できる「モバイルのPASMO」の利用を推奨している。
■交通機関のIT化にブレーキか?
ICカード乗車券の登場により電子マネーとしても使用できる便利な「お財布」が誰でも簡単に入手できる触れ込みだったが、さすがに急激な半導体不足までは予想できるはずもなく、あえなく失速という事態に直面している。しかし現在、急速に実証と普及が進んでいる運賃収受方法がコード決済だ。
クレジットカードのタッチ決済も実証段階だが、ICチップが必要なことに変わりはなく、この事態での本命はコード決済に移りつつある。すでにコンビニやスーパーマーケット、飲食店や自動販売機までカード決済が普及している。
コード決済が路線バスの運賃箱に搭載されればいいように思えるが、対距離制運賃の場合の精算方法や、ICカードと比較すると極端に遅い認証時間等の問題はある。これらをクリアしていくことで、ICチップに頼らないコード決済が実用化するかどうかが今後の課題の一つになるだろう。
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