バスに乗車したのに手持ちの現金やICカードの残高が不足していて運賃が支払えない! と焦ったことのあるひとも多いハズ。このような事態が発生した場合、どのように対応するのか? 記者が見たことがある対応をまとめ、元運転士にその実情を聞いてみた。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
乗り方により異なる?
「運賃を支払おうと思ったらお財布を忘れてきた!」とか「財布はあるけどお金が入っていなかった!」、「チャージし忘れていた」など、何らかのハプニングに遭遇する可能性は誰にでもある。記者が見かけたことがある対応では、バスの乗車方法により大きく2つに分けられる。
まずは大都市の「均一制運賃」地域でみられる前乗り運賃先払いの場合は、そもそも乗車と同時に運賃を支払うので、お金が足りなければ降りるしかなく乗客もたいていはそうしているケースが多いようだ。
最近はICカードで乗車する人が多いのでチャージ不足もよく見かけるが、その場合は現金で支払うか1000円をその場でチャージするかで対応可能だが、いずれにせよチャージする現金がなければ降りるしかない。そういう意味では単純明快だ。
厄介なのは整理券方式の後払いだ。地域によっては均一制運賃で後払いの事業者もあるが、どちらにしても後払いの場合は厄介だ。乗る時点では運賃を支払えるという前提で乗せるし、乗るものだ。
しかし冒頭で述べた通り、ついうっかり財布を忘れるとか、入っているはずのお金が入っていなかったりとか、いろいろなうっかりがあるものだ。乗ってしまって目的地に到着して降りようとしたらお金がない! こういう時の対応はたいていは当該旅客を運賃未収受のまま降りていただく。
お金を探し続けても運行が遅延するばかりで、乗っている他の乗客にも、またはその先の停留所で待っている乗客にも迷惑がかかる。そんなときの対処としては「次に乗車したときにまとめて払ってくださいね」と伝えて降りていただく、というもの。
もちろん運賃未収受で乗客を運んだので、運転士は営業所でその事実を運行管理者に伝える。事業者によっては対応マニュアルがあるだろうが、現実的にはこの対応がベストのようだ。
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