現役バスガイドが楽しく真剣に仕事の魅力や大失敗談を赤裸々に語る「へっぽこバスガイドの珍道中」連載。新生活が始まり、社会人として一歩を踏み出す人もいれば、新たな環境で再スタートを切る人もいるだろう。私たちバスガイドの世界では「社会人〇年目」を“〇年生”と呼ぶ。つまり新人ガイドは“ピカピカの一年生”だ。今回はそんな一年生に向けて本当に大切な本質を伝えたい。
文/写真:町田奈子
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■まずはすべての土台「挨拶」
新人ガイドに最初に求められるものは仕事の出来・不出来ではない。最も大切なのは「挨拶」だ。この業界は、とにかく挨拶がすべてと言ってもいい。たとえ仕事がまだできなくても、明るく元気に、笑顔で挨拶ができるだけで印象は大きく変わる。
そして何より、ガイドにとって挨拶は“お客様への最初の仕事”でもある。だからこそ、日頃の積み重ねがそのまま現場に出る。もちろん、挨拶をしても返ってこないこともある。それでもいいのだ。続けていれば、必ず誰かが見ている。気持ちのいい挨拶は、その日の空気をつくる。だからこそ、何よりも大切にしてほしい。
新社会人の方はすでに社内の研修でいやというほど挨拶の「訓練」をさせられたはずだ。社内でのあいさつは訓練でもいいが、この記事が出るころには顧客や取引先に先輩といっしょに回っている方もいるだろう。
しかし対顧客で「訓練」では通用しない。挨拶とは心なのである。だから社内の挨拶訓練で自己表現をしてほしいし、訓練から当たり前になってほしい。
■情報を制する者は現場を制す「メモ力」
次に欠かせないのが「メモ」だ。研修では、指導ガイドから教わる内容をひとつ残らず書き留める。現場に出れば、ルート確認、誘導方法、休憩場所や時間、お客様の人数までのすべてが情報戦になる。
さらに、チーフドライバーへの確認事項や、号車間の共有事項、先輩からの指示やフィードバック。覚えるだけでは到底追いつかない。だからこそ、メモを取る。むしろ「メモをしない日がない」と言っても過言ではない。
日常の中でもアンテナは常に張り続ける。例えば、テレビのお天気コーナーの言い回しひとつでも、「これ、朝の挨拶で使える」と思えばすぐにメモ。積み重ねたメモは、そのまま自分だけの“武器”になる。
ただし、メモを取って安心しきっていてはダメだ。ゆくゆくはメモされる側になっていくのだから、メモしたことは自分のものにしなければメモを取った意味がないのだ。学校でノートを取ってわかったような気になって、試験で焦ったという覚えが一度や二度はあるはずで同じことだ。
■成長を左右するたった一つの力「素直さ」
そして最後に、一番大切なのが「素直さ」だ。大人になるほど、意地や見栄が邪魔をする。けれどこの仕事は、分からないことをそのままにする方が危険だ。分からない時は、素直に聞く。指導を受けたら、まず受け止める。それができる人ほど、確実に伸びていく。
これは新人だけの話ではない。中堅に差しかかる今だからこそ、忘れてはいけないことでもある。後輩に対して、「どうしてできないんだ」と思う瞬間もあるだろう。そんな時こそ、自分も同じ道を通ってきたことを思い出したい。人にはそれぞれのペースがある。だからこそ、温かく長い目で見守ることもまた大切な仕事のひとつだと考える。
長くはないけれども、それなりの年数を生きてきて、それぞれの経験や知識、考え方が入り乱れて自分の主張となって出ていく。企画会議ではそれでもいいのだろうが、教育を受ける一年生はとにかく吸収するスポンジになることで、それも経験となる。スポンジの中身を絞って捨てることは後からいくらでもできるのだ。






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