バスのお仕事とは、なにも運転士だけではない。貸切バスのバスガイドも重要な職業だ。現役バスガイドが楽しく真剣に仕事の魅力や大失敗談を赤裸々に語る「へっぽこバスガイドの珍道中」をお届けする。今回はお客様が降車して車庫に戻るまでの回送とその後がテーマだ。
文/写真:町田奈子
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■「ありがとうございました」のその先へ
お客様の旅が終わり、バスを降りたらガイドの仕事も終わりだと思っている方も多いのではないだろうか。しかし実際には、そこからが私たちの最後の仕事の始まりである。今回は、お客様をお見送りしてからバスが車庫へ戻り、一日の仕事を終えるまでをご紹介したい。
旅の終わりといえば、バスガイドが最後の挨拶をして、お客様がバスを降りる。そんな光景を思い浮かべる方が多いだろう。私は昔から人との別れに弱いのだが、3日間一緒に過ごした修学旅行のお客様や、仲良くなった子どもたちとの別れは、何度経験しても慣れることはなかった。
最後の挨拶では涙が込み上げ、お客様と一緒に泣きながら別れを惜しみ、帰り際には皆さんとハグをして送り出したこともある。お客様がステップを降りる際、「ありがとうね。楽しかったよ」「ガイドさんがあなたでよかったよ」と声を掛けていただくたびに、何度その言葉に救われてきたことか。
一人ひとりに「ありがとうございました」と感謝を伝えてお見送りをする。それは私にとって何より幸せな時間だった。
■涙のあとはやっぱり忘れ物チェックだ!
しかし、涙の別れをしたあとは余韻に浸っている暇はなく、即現実に引き戻される。まず最初に行うのは忘れ物の確認だ。座席の下や網ポケット、棚の上などを一つひとつ確認する。忘れ物を見つけて「お客様~!」と荷物を持って走ったことも一度や二度ではない。
その後は、カーテンやリクライニングシート、空気口を元の位置に戻し、車庫へ向かう準備をする。「回送中に掃除をすればいいのでは?」と思う方もいるかもしれないが、走行中の掃除は禁止されている。車内で転倒すると車内事故になってしまうため、安全面を考えて行わないのである。
■回送中は何をしているの?
では帰り道は何をしているのだろうか。ガイドは、運転席横のガイド席や、入口側最前列の「1AB席(いちのえーびーせき)」(会社によって呼び方は異なる)に座って帰ることが多い。会社によっては「運転士がいいと言うまで座るな」と厳しく指導されることもあり、同じバス会社でも文化の違いを感じる。
回送中は、その日のお客様の話や反省会をしたり、世間話で盛り上がったり、時には悩み相談をしたりと、運転士さんとの貴重な時間でもある。もちろん、お互いに気が合わない日には少し気まずい空気が流れることもある。
とはいえ、私たちは安全保安要員でもある。話の途中でも左折時には「左オーライです」と安全確認を行い、最後まで気を抜くことはない。
■車庫に着いてからが本番
車庫に到着すると、ここからが本当の締めくくりだ。まずは運転士さんへ「本日はありがとうございました。またよろしくお願いします」と挨拶をする。運転士さんは掃除や片付けが終わると先に帰ることもあるため、挨拶をしそびれないよう最初に済ませるのが私たちの習慣だった。
続いて車内の掃除を行う。シートカバーを整え、小ぼうきで座席のほこりを払い、床を掃き、テーブルを拭く。「掃除は清掃員さんがやるのでは?」と思われるかもしれないが、自分が担当したバスは自分できれいにして返す。それがガイドとして当たり前であり、次に乗務する人への最低限のマナーでもある。
もちろん会社によっては専属のお掃除屋さんがいて、ガイドがやらなくて良いところもあるだろうが、私は掃除からゴミ出し全てをやって育ってきたので自分で最後までやりたいのが本音ではある。
掃除が終われば、今度は事務所へ向かう。有料道路の利用明細の提出や忘れ物の届け出、ステッカーなどの返却をする。そして最後に点呼を受けて勤務は終了する。翌日の仕事を確認し、ようやく一日が終わる。




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