バスのお仕事とは、なにも運転士だけではない。貸切バスのバスガイドも重要な職業だ。現役バスガイドが楽しく真剣に仕事の魅力や大失敗談を赤裸々に語る「へっぽこバスガイドの珍道中」をお届けする。今回はバスガイドの仕事って何? がテーマだ。
文/写真:町田奈子
編集:古川智規(バスマガジン編集部)
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■バスガイドになった経緯とは?
現役バスガイドの町田奈子がお送りする【へっぽこバスガイドの珍道中】だが、まずはご挨拶代わりに自己紹介をする。
バス会社に入社したもののコロナ禍の影響で実質約2年の休業を経て、本格的にバスガイドとして華々しくもデビューしたのは2022年4月から。ガイド歴は4年で、これまで主に関東とその周辺を中心に担当してきた。 珍道中の前に、なぜ数ある職業の中でバスガイドを選んだのかの経緯からお伝えしたい。
理由はいくつかある。中学から高校までの5年間は演劇に打ち込み、人前に立つことが好きだった。アイドルの追っかけや一人旅も趣味で、知らない土地に行くのが楽しくて仕方がなかった。そして回転寿司チェーンでのホール接客を5年間経験し、観光の専門学校で学んだ。
そんなすべての経験を活かせる仕事だと考え、バスガイドを志した。 地元で働くという選択肢もあったが、就職活動の時期はちょうど東京オリンピックの年だった。どうしても「オリンピックの年に東京でガイドをやりたい」という思いが強く、上京を決意した。というわけだ。
■皆さんのバスガイドの印象は?
皆さんがバスガイドと聞いてまず思い浮かべるのは、マイクを持って観光案内をする姿だろうか。しかし実際の仕事はそれだけではない。バスガイドは「安全保安要員」でもある。 左折時に「左オーライ!」と声を出して巻き込み確認をする。
本誌の運転士の記事でもさんざん語られている通り、左巻き込みの確認はワンマンでもガイド乗務の貸切バスでも最重要確認事項なのだ。
駐車の際にはバスの後ろに立ち、後方マイクを通じて運転士に合図を送る。運転士はその声を頼りに、数十人の命を預かりハンドルを切る。華やかな制服の裏側に、こうした安全に対しての責任ある役割が隠れているのがバスガイドである。
■徐々にやらかす新米バスガイド!
もちろん、最初から完璧にできるわけではない。新人時代には忘れられない失敗がある。 研修では「オーライ!オーライ!」と声の間隔を狭め、最後に「ストップ!」と伝えるよう教わっていた。ところが、いざ本番で自分の口から無意識に飛び出したフレーズは「もうすぐ止まります!!」だった。
後方マイクを通じてその声は車内に響き渡り、隣にいた他社のガイドは当然ながら大爆笑。笑いを提供するつもりはまったくないのだが、結果的につかみはOK的なやらかしをしてしまった。
運転士からは「腹がよじれるかと思った」と言われ、あの瞬間の赤面は今でも思い出すと笑ってしまう。安全保安要員としての役割はほかにもある。高速道路のサービスエリアでは新人ガイドが先に降り、横断歩道でお客様を渡らせたり、逆に車を通すためにお客様を止めたりする。
要するに、あらゆる安全に対しての責任を担っている、安全を第一に考え最優先にするのがバスガイドの使命とも換言できよう。
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