北海道最大の都市・札幌と、道内を代表する空の玄関口・新千歳空港との間は50kmほど離れていて、2点間を移動するには乗り物が不可欠だ。そゃそうなのだが……
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、札幌〜新千歳空港アクセスルートにまつわる写真があります)
■定番のアクセス手段が充実
札幌〜新千歳空港間をアクセスするにあたって、タクシーを除いた各種公共交通機関を使う場合、まず手堅い方法として挙げられるのがJR線の電車だ。
同区間には、小樽または札幌と、JR千歳線を経由して新千歳空港を結ぶ、直通タイプの「快速エアポート」が、1時間に最大5本程度出ている。
さらに、北海道中央バス/北都交通による、高速道路経由の空港連絡バスがあり、こちらも10〜15分おきに1本と潤沢な本数が用意され、主力交通機関の一つになっている。
■セオリーに頼らない発想
大空港に鉄道と高速バスは抱き合わせような関係ゆえ、新千歳空港もまた他地域の大きな空港によく見られる、セオリー通りの利便性を確保していると考えられる。
しかしここでやはり気になってくるのが鉄道と高速バス以外、いわゆる普通の路線バスによるアクセス事情だ。
何しろ札幌〜新千歳は50kmくらい離れており、一般道オンリーのバスだけで繋げるのは少々アドベンチャー寄りな気がしなくもない。
■2025年誕生の新ルート
実際のところ不可能なの? と路線バス網をチェックしてみると、乗り換えが必要になるものの、ある場所を経由すると一気に現実味を帯びてくる。
その経由地点とはFビレッジ。これといって野球に興味関心がなくても結構楽しめてしまう設備を擁した、おしゃれでスタイリッシュな球場「エスコンフィールド」のある新しいエンタメスポットだ。
札幌側からFビレッジへのアクセスは、新札幌もしくは北広島がハブ的な機能を受け持っているが、実は2025年4月21日から、JR札幌駅前〜Fビレッジ間にバス路線が新設され、Fビレッジを札幌〜新千歳空港間の中継地点として活用できるようになった。
■ほんとに一般道オンリー?
札幌→空港へ向かう場合、札幌駅前のバス停から目的の路線に乗車するが、一口に札幌駅前のバス停と言っても、2025年現在のところ道路上に停留所が分散して置かれているため、どこの札幌駅前なのかが結構戸惑う。
Fビレッジ行きは、札幌時計台のある西3丁目通り沿い、カニのオブジェが飾られた飲食店ビルの向かい側に置かれている33番乗り場が正解だ。
バスの運行事業者は、Fビレッジへのシャトルバス等を運行している北海道バス。果たして札幌発の路線はどんなバスなのか。
「定期路線バス」と名乗っているものの、ほんとにごく普通の一般道オンリーなバスなのか、あれこれ気になる要素多々あり、2025年9月に現地へ様子を見に行ってみた。
■EVによる中距離路線
その時点で札幌駅前にやってきたのは、光沢のある黒系のボディデザインがよく目立つ、前と中央に扉のついた大型路線車。しかもBYD製のEVであった。
このタイプの車両が来たということは、おそらく高速道路に乗る経路ではないだろうと予想。GPSログをもとにした当日の走行ルートを書き出すと……
北3条通→国道12号→道道3号/国道274号→市道大曲椴山線→道道1180号→ボールパーク通り
……といったもので、札幌駅前〜Fビレッジ間は確かに一般道のみを走る普通の路線バスということが確認できた。
距離にすると22kmほどあり、一般路線バスとしては中距離ランナーだ。このバスは途中停車のない、直行便の運行形態が採られているのも特徴といえる。







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