大都会を中心に、1,000台をクラスの車両を保有する大手路線バス事業者では、1年に何台くらいの車を新しく入れて、古い車を引退させるのか……都営バスを例に調べてみた。
文・写真:中山修一
■国内有数の大勢力・都営バス
今回は、詳しい車両データが公表されていて情報をまとめやすい、東京都の都営バスを題材に、1年ごとの車両の出入りの具合を軽く掘り下げてみよう。
都営バスの車両台帳を参考にすると、2025年4月現在で合計1,447台のバス車両を保有している。
このうち営業運転に使われている車で最も古いものが2009年式、新しいものは2025年式となっていて、車種は新旧いずれも「いすゞエルガ」。全体の平均車齢は6.94年とのこと。
都営バスの場合、新車で導入して17年前後で車両を引退させるサイクルが採られているとみられる。では年度ごとに見ると、大体何台ずつくらいのペースで導入/引退しているだろうか。
■2019〜24年までの動向をチェック
ここでは、2019(令和元)〜24(令和6)年度までの間、各年度に動きのあった車両台数に注目してみる。
初めて導入した車と、都営バスとしては引退した車が対象で、都営バスの営業所同士での車の異動は枠組みから外してある。
集計結果は以下の通りで、書式は……
(年度)新規導入した車両の台数/引退した車両の台数
……の要領だ。
【都営バス年度ごとの導入と引退】
(R1)169台/135台
(R2)162台/149台
(R3)141台/173台
(R4)101台/120台
(R5)85台/114台
(R6)72台/69台
(合計)導入730台 引退760台
■バランス重視の入れ替え?
都営バスの場合、ある年度にまとまった数を大量に入れて、以降しばらくの間は特に動きがなく、一定期間を経て全部一気に入れ替えるのではなく、うなぎのタレの要領でコンスタントに継ぎ足し押し出しを続けるスタイルが採られている模様。
上記の結果を踏まえると、コロナの影響が多少あるかも知れないが、近年は新たに導入する車両の数が減少傾向にあるようだ。
いずれにせよ、毎年2ケタ後半〜3ケタ台の車が入れ替わるとなれば、さすが大都会の交通網を支える大手バス事業者ならではのスケール感だ。
■引退後もまだ使えます
さて、都営バスでは前述の通り、1台の車両を使用する期間が大体決まっているため、引退したと言っても車両本体の機能は全く問題ないことが多々ある。
そのため、都営バスとしては一旦廃車扱いになったのち、地方都市をはじめ他のバス事業者に買い取られて、東京から遠く離れた土地で再就職するのが定番の流れになっている。
そんな元・都営バスの車を、地方都市を訪問してバスウォッチしながら見つけてみるのも、バスを楽しむ恰好のテーマだ。
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