山手線の内側なのにそこそこ長いぞ!? 都営バス品97系統が強力すぎる!!

山手線の内側なのにそこそこ長いぞ!? 都営バス品97系統が強力すぎる!!

 都心部を約1時間かけてぐるっと回るJR山手線。その沿線の内側を走る、ちょっと気になるバス路線はどれも超実力派だ!! そんなラインラップの中から今回、都営バス「品97」系統にスポットを当ててツッコミを入れる!!

文・写真:中山修一
(品97系統の写真付き記事はバスマガジンWEBもしくはベストカーWEBをご覧ください)

■東京の巨大駅を結ぶ路線バス

品川駅前歩道橋の上から見た2024年4月の品川駅
品川駅前歩道橋の上から見た2024年4月の品川駅

 東京都の品川〜新宿を移動する際、真っ先に思い浮かぶ公共交通機関といえばJR山手線だろう。品川〜新宿間は10.6km・およそ20分の距離だ。

 電車で直行できるなら、他の公共交通機関を作る必要もなさそうな印象を受ける。ところが、意外にもほぼ同じ区間を路線バスが走っていたりする。都営バスが運行する「品97」系統がそれだ。

 バス停名で言うところの「品川駅高輪口」と「新宿駅西口」を結ぶ路線で、巨大規模の駅同士をバスがつないでいる区間設定に物珍しさを感じるのと、電車を使えば1本で行けるのに何でバスが? と思えるあたりが好奇心をくすぐる。

■品川駅から品97系統に乗りバスだ!!

 理由はともあれ、何だか楽しそうと思ったバスなら、とりあえず乗ってみるのがベター。幸い品97系統の場合、平日の昼間なら20分おきくらいに出ているため、限界系ローカル路線バスのように綿密な戦略立てはほぼ不要なので安心だ。

 バスの出発時刻を特に調べないまま、フラフラと品川駅まで赴いた。どちらかと言えば時間よりも、その品97系統が出ている停留所を見つけるほうが難敵な気がする。品川駅周辺にはあちこちにバス停が散らばっており、なかなかの初見殺しだ。

 「品川駅高輪口」の名称がついているバス停は、山手線の線路の内側・第一京浜沿いの各所にあり、最も北寄りに置かれたバス停から品97系統が発着している。

品97系統はじめ都営バスの各路線が発着する品川駅高輪口バス停
品97系統はじめ都営バスの各路線が発着する品川駅高輪口バス停

 最寄の駅出入口は高輪口。バス停のすぐ近くに架かっている歩道橋(品川駅前歩道橋がフォーマルな呼び名)が目印かつ、駅からのアプローチにも便利だ。

■かゆいところに手が届く経路

 現地に着いてすぐバスが入線してきたので、それに乗車。早朝を除きほとんどの便が品川駅高輪口始発となっている。運賃は前払い方式で210円均一。

 はじめ10名ほどを乗せて出発したが、ちょうど下校時刻と重なったのもあり、段階的に利用者が増えていき、満員に近くなった。

 伊達に20分おきにバスが出ているわけではなく、確たる需要を持った路線とみた。やはり最大のメリットはバスが通る経路にありそうだ。

東京らしい交通量の中、大胆に方向転換しながらバスは進んでいく
東京らしい交通量の中、大胆に方向転換しながらバスは進んでいく

 品97系統がどこを通るのか……車内から外の景色を眺めていると、始発/終点以外は山手線とあまり関係のない場所を経由していく様子が窺える。

 カーブが続く小道や首都高の脇、進行方向的に寄りそうで寄らない渋谷などなど「こんなところ通るんだ?」のような、電車移動時とは全く異なる景色の移り変わりが楽しい。

■さまざまな地下鉄駅をカバー

 一方で、山手線以外の電車の駅(またはその近く)には結構立ち寄る。白金高輪駅、広尾駅、青山一丁目駅、信濃町駅、四谷三丁目駅、新宿御苑前駅など、横方向に伸びている地下鉄各線/JR線の駅を縦に繋いでいくような形だ。

 横方向に伸びる線路と線路の間をカバーすることで、駅まで歩いていくには少々遠いエリアの交通手段を確保するとともに、鉄道への乗り継ぎをサポートするのが、品97系統の役割の一部と考えられる。

 また、品川→新宿方面に向かった場合、上記の駅へ電車で行くには乗り換えが必要。そこを品97系統なら1本で行けるのも、このバスならではの強みになる。

 ともあれ、品97系統は鉄道だけではアクセスしづらい場所を出発点/目的地にした区間利用が主な目的で、全区間の通し乗車はオマケ的な性質かもしれない。

次ページは : ■何気にオイシイ路線!?

最新号

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

【9月20日発売】巻頭特集は「東急バス」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン126号!!

バスマガジン Vol.126は9月20日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材で読者を魅了してやまないバス好きのためのバス総合情報誌だ!!  巻頭の[おじゃまします! バス会社潜入レポート]では、東急バスを特集。東京都から神奈川県において都市部から住宅地、田園地帯まで広いエリアを綿密なネットワークを展開、さらに高速路線バスやエアポートリムジンも大活躍。地域住民の足としてはもちろん、首都圏の動脈ともいえる重要な存在だ。  続く特集は、ついに日本に上陸しさらに種子島での運行が決まった、ヒョンデの電気バス[ELEC CITY TOWN]の試乗インプレッション。日本におけるヒョンデの本拠地である横浜・みなとみらい地区で、徹底的にその性能を確認した。  バスの周辺パーツやシステムを紹介する[バス用品探訪]では、なんと排出ガスからほぼ煤が出なくなるというエンジンオイルを紹介。この画期的な商品「出光アッシュフリー」について、出光で話わ聞いてきた。  そして後半カラー特集では、本誌で毎号、その動向、性能を追跡取材してきた「カルサンe-JEST」。このトルコ製小型電気バスがついに、運行デビューを果たした。その地は長野県伊那市と栃木県那須塩原市。今後の活躍が期待される出発式を紹介する。