場所柄、神社の数が多い印象のある三重県だが、なにもパワースポットは伊勢の神宮だけではない。普段は無人のようで地元の人もあまり知らないかもしれない神社に参拝したので機会があれば訪れていただきたい。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■同じ社号の神社が付近に2つ?
三重県には伊勢市を中心に神宮を形成する125社の神社をはじめ、多くのパワースポットが存在する。その中で松阪市のしかも郊外にある「阿射加(あざか)神社」に参拝した。阿射加神社は近隣に計2社あり、もちろん関係するが参拝したのは松阪市小阿坂町(こあざかちょう)にある方だ。もう1社は松阪市大阿坂町にあるので隣接していると言ってもよい。
鉄道では非常に行きにくいため、公共交通機関ではバス頼るしかない。松阪駅前から三重交通の嬉野一志線に乗車して40分程度の乗車で阿坂小学校前で下車。そこからは徒歩10分とかからない。運賃は570円。
鳥居も参道も立派で、神社らしい鎮守の森もある。かなり背の高い樹木が多い。それもそのはずで、ほぼ自然林の形で残っている同社の鎮守の森は松阪市の天然杵物に指定されている。よってすべての木が御神木に見えてしまうほど立派な森だ。
阿射加神社は延喜式内社ということになっており、10世紀にはすでに存在した歴史を持つ。後述するが実際にはさらに古いかもしれない。鎮守の森に囲まれた参道を進むと、小さな太鼓橋がかかっているが橋の下には水も川もない。大昔は御神水が流れていたのかもしれないが詳細は不明だ。
そのまま参道を進むと手水舎があり、突如として広大な広場のような地に出る。社務所はあるが普段は無人のようだ。手水舎の脇にすでに使用を終えたのか放棄された鳥の巣が人の手の届く高さに残されていた。参拝者がいないことはないだろうから、ここで野鳥がひなを育てても参拝者はそっと見守り続けたのだろうことが想像される。なんともぬくもりのある場所ではないだろうか。
■神々しい本殿が並ぶ
広場のような土地の周囲は御神木が立ち並び、周囲は鎮守の森だが、広場だけが日に照らされて不思議な空間だ。空気は凛としていて神々しい。正面に階段があり、奥に本殿と思しきお社が3座並ぶ。この配置や見た感じは内宮の正宮に通じるものがある。
同社の創建年や経緯については10世紀には存在したことは分かっているが不明な点が多い。伝承では第11代天皇である垂仁天皇の命により造営されたことになっているので、創建は3世紀から4世紀、時代でいえば弥生時代の後の古墳時代にまでさかのぼるのかもしれない。
現在の主祭神は猿田彦命で、三重県各地はもとより全国で猿田彦命をお祀りする神社の元宮に当たるのではないかと、別の神社の宮司から話を聞いた。伝承によれば猿田彦命が没した際の荒魂(あらみたま)を鎮めるために造営された神社なので、かなりパワーの強い神社だと思われる。
日本の八百万の神々は和魂(にぎみたま)と荒魂の2面性を持つとされ、荒魂は文字通り荒々しい側面で「荒ぶる神」と表現されるほど災いをもたらすが、その絶大なパワーにより新しいものを生み出すエネルギーに満ち溢れるとされる。その荒ぶる神を鎮め、強大なパワーで加護を得ようと古来から荒魂を別にお祀りし、人々は儀式やお供えをして信仰してきた。
本当にパワーがあるかどうかは別として、境内に足を踏み入れた際の圧倒される空気は、科学的根拠のない現代人の直感としてもパワーを感じたのは事実である。











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