【令和7年10月のバス占い付き】渋滞に巻き込まれると高速バスの運転士の手当が付くってマジ?

【令和7年10月のバス占い付き】渋滞に巻き込まれると高速バスの運転士の手当が付くってマジ?

 バス運転士の待遇が悪く運転士不足問題は一向に改善しないのは少し問題意識のある方であればみんな知っていることだ。本稿ではそれはとりあえず置いておいて、複数の事業者の運転士に聞いた話を紹介する。本稿には令和7年10月のバス占いも付録するので、合わせてお楽しみいただきたい。

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(写真はすべてイメージで本文とは関係ありません)

■バス運転士の賃金体系

渋滞に巻き込まれると運行時間は伸びる
渋滞に巻き込まれると運行時間は伸びる

 バス運転士の賃金外形は大きく分けて拘束時間制とハンドル時間制の2つに大別される。事業者によっても多少の違いはあるが、概ねこの2つだ。拘束時間制は誰にも分かりやすい、拘束された時間分の時給を賃金として支払うもの。ただし、これを採用する事業者は多くない。

 例を挙げると、記者が臨時運転士をするフジエクスプレスの場合、出発点呼から到着点呼までの拘束時間から1時間の昼休みを除いたすべての拘束時間について時給計算される。休憩時間は多くあるがそれを含めて時給計算される。仕業によっては所定の時間を超えての交番もあるので、その際は時給に対して所定の倍率の割り増し賃金が支給される。

 一方で、ハンドル時間制の賃金体系は基本給にプラスして実際に運転した時間(これをハンドル時間という)に対しての支給と、運転距離に対しての支給が加算されて月給となる。基本給は低めな事業者が多く、ハンドル時間加算と距離加算で賃金が積み増される。どちらが良いのかは一概には言えないので、本稿でその議論はしない。

■大変な大型連休中の高速路線

多くの事業者ではハンドル時間制を採用する
多くの事業者ではハンドル時間制を採用する

 さて、複数の事業者の運転士に実際の話を聞いてみた。何度も言うが、本稿では良し悪しの評価をするためのものではなく、こういう見方もあるということを知っていただきたいために取材していることをお断りしておく。

 多くの事業者で採用しているハンドル時間制の賃金体系だが、バスはダイヤ通りにきっちり走ることは少なく、遅延は当たり前の乗り物だ。特に大型連休期間中の高速バスともなれば高速道路の大渋滞でダイヤがとんでもないことになる。具体的には年末年始、ゴールデンウィーク、お盆期間中や最近では3連休も渋滞になる。

 首都圏から出る東名、中央、関越、東北、常磐等の各高速道路を経由する路線では数時間の遅延は当たり前で、乗客も多いことから続行便まで出る。バス事業者もどれくらい遅延するのかは予測して乗客に案内はしているが、それでも想像を絶する遅延は運転士以上に乗客がびっくりするほどだ。

 運転士は法律で連続して運転できる時間が決まっていて、それを超えることはできないし、デジタコ搭載なのでごまかすこともできない。よって運転士個人は平気であっても既定の運転時間を超えるようであれば休憩をしなければならない。

 しかし、PAに入るための渋滞であっけなく超えてしまう可能性もあるため、所定の休憩場所以外に立ち寄らざるを得ない。それを計算しながら運行しているのだ。

 その際に運転士は車内放送でこのことを説明して理解してもらい、一刻も早く到着したい中でも休憩をしなければならないのだ。最初から最後まで渋滞に巻き込まれる可能性がわかっている場合は、通常2時間程度の昼行便でさえ、ツーマン運転を行う事業者もある。

 通常はワンマンの路線なので、ツーマンにすると人件費が倍になり利益は吹き飛ぶが、法律に違反するわけにはいかないし、要らぬストレスで事故を起こすよりもツーマンで運行して運転を交代した方が良いという判断だ。

次ページは : ■遅れたときの賃金は?

最新号

【9月19日発売】巻頭特集は「西武バスグループ」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン130号!!

【9月19日発売】巻頭特集は「西武バスグループ」!! ほか楽しいバスの企画満載の バスマガジン130号!!

 バスマガジン Vol.130は9月19日発売!! 美しい写真と詳細なデータ、大胆な企画と緻密な取材…