元国鉄・JR線の実例で見る代替・転換バス
鉄道が廃止になると、事業者に関係なく代替・転換バスが登場するものだが、今回はとりわけ象徴的な存在と言える国鉄・JRの廃止路線に絞ってみた。
国鉄・JR線で廃止になった旅客営業路線のうち、バス転換したものが72路線。内訳は北海道が29路線と最も多く、次に福岡県(8)路線、兵庫県(5路線)、鹿児島県(4路線)、新潟県(3路線)…と続いていく。
上記のバス転換された路線で、2022年現在もほぼ同じ区間を結ぶバスが運行されているのは54路線。それとは別に、目的地や経路が大幅に変わっていたり、利用時に予約が必要など条件付きで存続しているものが6路線だ。
バス転換したものの、残念ながら代替バスも廃止、あるいは途中の区間が分断されて、当初の鉄道線の通りに端から端まで到達できなくなっているものがトータル12路線あった。
代替バスまで廃止となった都道府県の内訳は北海道と福岡県が同じ4路線ずつ。福島県、滋賀県、兵庫県、大分県がそれぞれ1路線だ。
1960年代から続く代替・転換バスの登場
年代順で見てみると、特に古いのが1964年5月に廃止後バス転換した滋賀県の柳ヶ瀬線。国鉄バスからJRバス、余呉バス・敦賀市コミュニティバスへと転換していき、現在は途中(雁ケ谷〜刀根間)が分断されている。
分断区間にある柳ヶ瀬トンネルは歩行者や軽車両の通行ができないため、徒歩を挟んでの乗り換えも不可能となっている。
次が長崎県の柚木線で1967年9月の廃止。こちらは今も西肥バスで鉄道時代の始点〜終点相当の区間を結べる。ただし代替・転換バスとは少々キャラクターが異なるかもしれない。
1970年12月に廃止された北海道の根北線が3番目に古い。鉄道が未成に終わった区間を含む、斜里〜標津を結ぶバス路線を斜里バスが元々運行しており、鉄道廃止後はそのバスが代替手段となったが、2004年4月にバスも廃止されている。
新しい代替・転換バスの動向を記すと、最も新しいのが2021年4月に部分廃止となった日高本線の鵡川〜様似間。ただし日高線の鵡川より先は2015年からバス代行だった。
次が2020年4月廃止の札沼線の北海道医療大学〜新十津川間。こちらはコミュニティバスの月形当別線・月形浦臼線、浦臼町営バスが代替バスとして運行されている。
3番目も北海道。2019年4月に役割を終えた石勝線夕張支線の新夕張〜夕張間だ。鉄道と並行していた地元の夕鉄バスが代替・転換バスを受け持っている。
時代で言えば、1980年代が国鉄・JR系転換バスの百花繚乱期と言える。80年代に登場した代替・転換バス47路線のうち37路線が現在も運行中だ。
すでに3〜40年経っているわけで、それでも8割近くが公共の足を守るべく依然活躍中なのを見ると、路線バスの底力を感じさせられる。
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