バス事業者は実はかなり長い歴史を持つ企業が多い。文明開花の明治期から大正、昭和、平成、そして令和へと日本のバスは歴史を紡いできた。そんなバスの歴史を振り返るバスマガジンの人気連載が「バスのちょこっとヒストリア」。
今回は横浜でバスの方向幕に掲示されていた「市電保存館」の名前に誘われて、JR桜木町駅バス3番乗り場より終点まで横浜市営バスに乗ってきた。横浜市交通局自動車部滝頭営業所の一角にある横浜市電保存館では、明治・大正・昭和と時代を走り続けてきた横浜市電の姿を保存している。
※内容は2016年の取材時のものです
執筆・撮影:諸井 泉(特記を除く/バスマガジンvol.80より)
取材協力:横浜市交通局、横浜市電保存館、日本バス友の会バス資料室
参考文献:のりあい自動車よこはま市バス60年(1988年横浜市交通局発行)
【画像ギャラリー 】本文未公開写真も‼︎ 目まぐるしい時代変遷を駆け抜けた横浜市営バス
桜木町駅から市電保存館へ。電停シアターでバスを観る!?
JR桜木町駅構内にある観光案内所で横浜市営バス路線マップを入手し、東口のバス3番乗り場より「市電保存館」の方向幕に誘われて終点まで乗車した。地図上にバスの路線図とバス停が落とし込まれたこのマップは、どの場所にどの系統が走っているかが一目でわかるので「乗りバス派」にとっては貴重なアイテムである。路線図を見ているだけでわくわくしてくる。
横浜市交通局自動車本部滝頭営業所に隣接した横浜市電保存館は明治・大正・昭和と時代を走り続けてきた横浜市電の姿を保存している。1973年に車両工場跡地の建物を改装し、横浜市電保存館として開館。館内には当時活躍していた車両7両が保存されているほか、鉄道ジオラマや市電&横浜ブルーライン鉄道模型などを展示している。
その中でも興味深いのは、横浜市電のあゆみを映像で紹介している電停シアターである。市電を映し出した映像をよく見るとバスの走る姿も写っており、横浜市電とともに歩んできた横浜市営バスの当時の様子を見ることができ、バスファンにとっても貴重な実写映像といえよう。
館内をご案内頂いた石井英明館長によれば、現在の市営バスの駐車場となっている場所がかつての市電の車庫で、車両整備工場の建物は現在でも市営バスの整備工場として使用されているとのことであった。