近所の停留所から気軽に乗れる、便利な乗り物である路線バス。しかし、ある程度の大きさの都市であれば、輸送量の面から地下鉄や鉄道が都市交通の主役になる。その目安は、概ね100万〜150万人と言われており、実際地下鉄や鉄道が発達している都市は、例外なく100万人を超えている。
文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
■スキ間を埋めるのが得意な路線バス
ただ地下鉄や鉄道は、都市全域を完全にカバーできるものではない。鉄道の建設には莫大な費用が掛かるので、そのルート選定や建設には慎重な議論が必要となり、人口が密集していない地域や開発予定がない過疎地がルートに選ばれることはない。
その補完的な役割として、住宅地から駅までをカバーするのが路線バスの主な役割だ。
ただ、地下鉄や鉄道のルートによっては、ぐるりと遠回りをしたり乗り換えが必要だったり、あまり効率的とは言えない移動が必要なことがある。
東京で例えるなら、小田急線沿線から東急線沿線へ移動する場合、新宿や渋谷、あるいは登戸や溝の口、武蔵小杉をぐるりと回る必要がある。
縦方向に移動する需要はそれほど多いわけではないが、一定の利用者はいるため、二子玉川と成城学園前を結ぶ玉07のような運行頻度の高い路線もある。
■海外にもある! バスのほうが楽な地域
筆者の住む町であるプラハも、都心と郊外の間は3つの地下鉄路線や鉄道などが結んでいるが、やはり地域によっては移動しづらいところがある。
プラハ市は地下鉄やバス以外にも、トラムやトロリーバスなどを運行し、路線網の拡充を進めている。そんななか、今年8月から運行を開始したのが新しい路線バス「145番」だ。
この路線は、市北部の丘の上に位置する大型団地、チミツェおよびボフニツェ地区と、プラハ城の裏手に位置するデイビツェを結ぶもので、都心部からは少し離れた場所を通過する。
観光客には無縁だが、デイビツェ地区には大学やオフィス街があり、需要もそれなりにある。ただ、この両地域間を移動しようとすると、まず地下鉄駅まで行って地下鉄へ乗り換え、再度トラムへ乗り換え、1時間近く掛かっていた。
だがこの145番は、地下鉄駅から先はほぼノンストップ、途中でバイパストンネルを通過し、両地域をわずか35分で結ぶ。20分以上の短縮効果は大きい。
■バスだと避けて通れないあの問題
とはいえ、路線バス最大の敵と言えば、やはり交通渋滞だ。ひとたび道路が渋滞すればノロノロ運転、通勤通学時ともなれば遅刻をしないかとヒヤヒヤさせられることになる。
このトンネルを含むバイパスは、私も車でよく通るが、平日はかなり混雑し、ほとんど動かないこともある。これではせっかくの短縮効果も無意味ではないだろうか。
そこで実際に乗車してみることにした。乗車するのは、地下鉄乗換駅のコビリシィ駅から、バイパス区間を通過してデイビツェまでで、まずは日中に試乗してみた。
■145番の乗り味やいかに?
145番の運行間隔は日中が15分間隔、ラッシュ時は概ね7〜8分間隔で、朝7時台だけ6分間隔で運行される。1時間10本であれば、結構な運行本数だ。
時間はちょうど正午過ぎ、だが利用者は意外と多く、席は概ね埋まっている。まだ走り始めて間もないが、既に多くの人に認知されているのだろう。
コビリシィ駅を発車すると、途中の2停留所に停車し、そのままバイパスへ入る。バイパスへ入って気付いたのは、それまで無かったバス専用レーンが設けられていることに気付く。
ここはまさに酷い渋滞が発生する区間だが、バス専用レーンがあれば、影響は最小限に抑えられるだろう。
西へ向かうトンネルバイパスへ合流するインターチェンジ部分にも、バス専用レーンが設けられた。スペースの関係で、全区間というわけにはいかないようだ。
しかし要所に渋滞を回避するための「抜け道」を用意して、可能な限り定時運行を実現させようという努力が見られる。
さすがにトンネル内は、道路を拡幅するのが難しいため専用レーンは設けられていないが、トンネル手前の合流部分にはバス専用の優先信号が用意され、他の車が赤信号で停車している隙に他車をごぼう抜きしていった。
日中の所要時間は、ほぼ定刻で20分弱。地下鉄とトラムを乗り継げば30分近く掛かり、乗り換えも必要なので非常に便利。これなら十分利用価値があると言える。
現在はまだ夏休み期間中で、普段より交通量が少なく、ダイヤも休校日ダイヤ(学校の夏休みに合わせたダイヤ)であるため、朝夕ラッシュ時間帯については正確な判断が難しいが、車内は立客が出るほど混雑しており、かなり利用者数は多そうだ。ラッシュ時に関しては、9月以降にあらためて乗車してみたい。
【画像ギャラリー】新設バイパス経由・プラハ市バス145番(9枚)画像ギャラリー


















コメント
コメントの使い方