最近の路線バス向け大型車でポピュラーな車種の一つ「いすゞエルガ」。どこにでもいる車と言われればそうかも知れないが、発売開始から既に25年以上を経ており、特に初期型のエルガに至っては今やちょっとしたプレミアム要素の持ち主だ。
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWeb内本文上とギャラリーに、地方で現役V8エルガの写真があります)
■尖ったスペックが初代の証
いすゞエルガが登場した2000年当時といえば、バスへのバリアフリー対策やエンジンのダウンサイジングなどが本格化し始める、ちょうど転換点にあたる頃合い。
そのため、「KL-LV280」の型式で発売された初代・最初期のエルガには、昔ながらのバス作りの作法に則った、ハイパフォーマンスの因子がまだ残っており、排気量15,200CCのV8エンジンを標準で積んでいたのが大きな特徴。
車内に関してもレイアウトが多少異なり、殊にワンステップ/ツーステップ車となると、1980〜90年代に製造された路線バス車両の居住空間を彷彿とさせ、エルガにこういう内装あったの? と、今となっては新鮮味を覚えるほど。
ヘッドライトを縦に2つ配置した、角目4灯ライトの顔つきは初代エルガから。フルモデルチェンジにより吊り目2灯化するまでは、どのバリエーションもほぼ同じ顔をしている。
ただし最初期型に関しては、車体左側面のリアタイヤの後ろ、ちょうどエンジンが収まっているあたりに、後のエルガには見られない大きなグリルが付いており、これが最初期エルガLV-280シリーズの目印になる。
販売終了が2004年頃までと、既に20年以上を経ており、さすがに首都圏から初期V8エルガはほとんど姿を消して久しく、今なら全国の地方都市を目当てにすると、元は首都圏で使われていた移籍車に出会える確率が高い。
なお、ものによっては特注で他のエンジンを搭載していたり、途中でエンジンを載せ替えたりしている車もいる可能性はゼロではないとはいえ、個体ごとの特殊なスペックまではさすがに把握しきれないため、ここでは左側大判グリル付き=V8車ということにしてある。
■下津井電鉄のKL-LV280L1改
続いては2026年6〜7月にかけて、各地で見かけたV8エルガを簡単に紹介したい。1グループ目は2026年6月、岡山県倉敷市のJR児島駅前にあるバスターミナルを訪れたときのこと。
バスの待機スペースに、下津井電鉄の4つ目エルガが2台停まっており、左側面の後ろをチェックすると、2台とも大判のグリル付き→初期型であると確認した。
2台とも2003年式のKL-LV280L1改で、エアサス装備のホイールベース4.8mのタイプ。型式の末尾に“改”と付くものはノンステップ車にあたる。
1台は下津井電鉄の興除営業所に所属の岡山ナンバー、もう1台は児島営業所に所属する倉敷ナンバー。どちらも元・小田急バスの車だったようだ。
■越後交通のKL-LV280N1
2026年7月にも新潟県でV8エルガを確認。こちらは長岡駅〜小千谷車庫間を結ぶ路線で使用されていた、越後交通の小千谷営業所に所属する車両だ。
KL-LV280N1の型式を持つ、エアサス装備のホイールベース5.3mのタイプで、ワンステップ仕様のバリエーション。直列6気筒エンジンのLV234シリーズに変わる直前の、2004年に製造されたモデルと見られる。
越後交通の生え抜きではなく、西武バスが新車で導入したのを皮切りに西武観光バスへ移籍して活躍後、現在の地へと移ってきた経歴の持ち主だ。
同車には外から観察にとどまらず、たまたま利用する路線に充当されており乗車の機会もあった。腹に響くような野太い音と振動は他のエルガと一味違う、初代V8車ならではのフィーリングだ。







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