海外旅行に行きたくてうずうずしている方も多いのではないだろうか。気軽に渡航できなくなりもう2年が経過する。海外旅行には必ず必要な旅券の有効期限は大丈夫だろうか。本稿ではコロナ以前の海外取材中に旅券更新をした体験を紹介する。
ちょっぴりレアな旅券を10年持つチャンスがある方は「渡航自由化」を待ってチャレンジしていただきたい。なお内容は取材日現在のもので現在では異なっている可能性があるので確認の上でお読みいただきたい。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】在外公館で旅券を更新するとちょっとレアな旅券が手に入る?(15枚)画像ギャラリー日本国旅券の番号は英字2文字+7桁数字
旅券(パスポート)は我々一般の民間人が持つ一般旅券と、政府の用務で渡航するための公用旅券、そして外交官が持つ外交旅券に大別される。外交や公用旅券は最強と思われがちだが一概にそうとも言えない。
観光目的等の短期滞在において、日本国の一般旅券を所持して無査証(ビザなし)渡航ができる国や地域の数は、世界でもトップクラスの多さを誇る。ところが公用旅券や外交旅券だと査証取得が求められたり、そもそも渡航先が限定されていたりと不便な面も多いという。
我々が持つことができる一般旅券には5年用と10年用があり、成年していれば選択が可能だ。この旅券の番号は有効であろうが失効しようが、1旅券当たり1つの固有番号と決められているので、更新しても運転免許証のように変わらないのではなく更新ごとに番号は変わる。
2文字の英字と7桁の番号からなる旅券番号だが、日本では10年用の一般旅券の最初の英文字は「T」から始まるし、5年用は「M」から始まる。
2文字目の英字は日本国内で都道府県のパスポートセンター等を経由して外務省から発給される旅券は、「A」から「Y」までが順に割り当てられる。記者が香港に乗りバス取材に行った当時、所持していた10年用の旅券はTHで始まっていたので、少なくとも現在ではAからHまでは払い出してしまったのではないだろうか。
海外でも旅券更新は可能!
さて2文字目の「Z」がないが、日本の外務省ではなく日本の在外公館(大使館領事部や総領事館や領事事務所)で発行された場合は、どこの国や地域でもすべて2文字目は「Z」が使用される。
海外で旅券の発給を受けるというと、旅行中に紛失や盗難にあうか海外在住の日本人かといったケースを思い浮かべるが、紛失した場合は更新などと悠長なことは言っておれず、帰国のための渡航書を速やかに発給してもらい旅行中止で日本直行となる場合が通常だ。
そもそも有効な旅券が手元にないと戸籍抄本等の書類が必要で、そんなものは海外旅行中に持っていないのが普通だからだ。しかし有効な旅券の更新ならば、実は普通に在外公館でも要件を満たせば国内と同様に可能だ。これまで「更新」という用語を使用したが、実際にはどこで更新しても切り替えによる新規発給という扱いだ。
新たに旅券発給を申請したり、失効や盗難・紛失による新規発給は必要な全部の書類をそろえて手続きを行わなければならないが、切り替えによる新規発給(更新)は現に有効な旅券がそこにあるので、ずいぶんと書類を省略することができる。これは国内でも海外でも同じだ。