今回の乗りバスレポートは都営バス「錦28」系統だ。錦糸町駅前・東大島駅前間の約5kmを25分程度で走る。担当は都営バス江戸川営業所だ。路線図や沿線の風景は画像ギャラリーに収録しているので合わせてご覧いただきたい。
文:古川智規(バスマガジン編集部)
写真:小野寺利右
直線距離は短いがちょっと遠回り
今回は錦糸町駅前から乗車した。駅前ターミナルを出るとすぐに四ツ目通りを南下する。すぐに住吉駅前に到着し都営新宿線と半蔵門線に接続した後、新大橋通りに入り東に向けて走る。ここからの区間はしばらく都営新宿線の上を走る。
江東公会堂前は愛称を「ティアラこうとう」と称し、本格的な音響設備を持つホールでありクラシック音楽がお好きな方には、なじみのあるホールではないだろうか。ホール利用の際は住吉駅から徒歩でも行けるが、錦28を利用すると目の前に停車するので非常に便利だ。
猿江恩賜公園へ
江東公会堂の新大橋通りを挟んだ反対側には猿江恩賜公園がある。バス停の目の前だ。昭和天皇(当時は皇太子)成婚を記念して政府の貯木場だった当地が東京市(当時)に下賜された。
その後公園として整備され、市民に開放されたのが始まりで現在は都立公園だ。園内には当時の貯木場を模して再現したミニ木蔵がある。前述の江東公会堂も正確には猿江恩賜公園の一部である。
小名木川駅前って?
新大橋通りを進み西大島駅前で都営新宿線と接続する。都営新宿線は住吉・西大島・大島・東大島と駅が並ぶが、錦28系統はこのうち大島駅だけを通らないルートだ。
西大島駅前からは明治通りを南に進み「小名木川駅前」交差点で針路を東に変えてひたすら団地の中を走る。この区間は完全に生活路線で、住民を鉄道駅に連絡させる路線だ。よって便数も乗客も多い。
ちなみに小名木川駅という交差点名だが、ここに旅客駅が存在したことはなく、あったのは貨物駅だ。総武本線の支線(小名木川線)が亀戸から越中島まで現在でも存在するが、当地には小名木川駅という貨物駅があった。
貨物駅自体は2000年に廃止され、跡地には商業施設「アリオ北砂」が再開発事業により誕生しているが、交差点名は変わらず「小名木川駅前」だ。勘違いしそうだが、この名称の旅客駅が存在したことは無いのだ。