大柄なバスはどうしても死角が多く、安全な運行にはミラーは欠かせない。これはトラックなどとも共通だが、サイドや後方だけでなく、真ん前でも見えないアングルがある。
そこでバスにはどれだけミラーがあるのかを紹介したい。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
正解は「車両によって違います」
バスのミラーは事業者により、またはバスのタイプや目的や投入されている路線により異なるので正確なことは「まちまち」というのが正解だろう。ワンマンの路線車とバスガイドが乗務する貸切バスとでの違いもある。
ただし、ないと車検が通らない保安基準で定められたミラーは決まっているので、ここだけは正確なことがわかる。よく目に入るのは、ニョキッと伸びた車両前部の複合ミラー。この前部左右らあるミラーでは、後方、前部下方直前だ。
前部下方用ミラーでは、運転席から死角になる直前の情報を得る。例えば、身体の小さな子供などがいないか、などの確認用だ。そして後方用は発進時や車線変更時の安全確認用であることはもちろん、バスの場合は右左折時のステアリング操作の確認用として、重要な役割を持つ。
乗用車とはまったく大きさも挙動も異なるバスの場合、後輪の位置が右左折や停車時などの幅寄せ行動時に重要になるためだ。教習所や研修所など、バス運転の訓練をする場合、この挙動がもっとも大切なカリキュラムのひとつとして挙げられている。
もしこの前部のミラー、得に左側が破損やひび割れなどしていたら、そのバスは運行を取りやめて修理を最優先にするほどだ。
車内のミラーもバスならではの乗用車とは別次元
そして「客室の安全確認装置」として、いわゆるルームミラーがある。これは乗用車とは違いバスの後方を確認するためではなく、客室内の安全を確認するためにある。平面鏡か凸面鏡かでサイズは異なるほか、モニター装置とすることもできる。
次に「後扉付近の旅客を確認する装置」として中ドア付近の乗客を確認するミラーがある。これは、前部左窓上部付近に後写鏡(平面鏡)と、後扉上部に後写鏡(凸面鏡)をそ れぞれ備えなければならない。
これもモニター装置で代用することが可能だ。さらにダブルデッカー車の場合は階段付近の乗客を確認するためのミラーかモニター装置を備えなければならない。
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