路線バスの経路の引き方にはいろいろなパターンがあるが、今回話題にするのは「同じところを通らない路線」である。
ちょっと考えると「あぁ、循環系等のバスね」と気が付くが、山手線や大阪環状線のように内回りと外回りがあれば戻ることもできるし、2駅間をどちらの方向からでも行くことができる。だが、なかにはそれすらも不可能な路線も多々存在するのだ。そこで今回は往復で違う道を通るバス、そのワケをご紹介。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】同じところを通らないのは利用者のため!?(5枚)画像ギャラリーバスならではの循環路線
バス路線は全国に無数にあるが、それらすべてを網羅することはほぼ不可能だ。今回は東京都内の路線で紹介するが、全国的にもおそらく似たような路線があるはずなので、探してみていただきたい。
バスにおける循環路線とは始発と終点が同じ路線と定義することができるだろうか。この場合、サークル(輪)になっている路線だとは限らない。同じ経路を往復するのだが、折り返し地点で終点とはならず継続して始発地に戻るのも循環路線のひとつと言える。
東京都内では都営バスの「池86」「早81」系統が代表例だろうか。どちらも渋谷に関係する路線だ。例えば池86系統の場合は池袋駅東口(あるいはその周辺)が始発地で、ほぼ明治通りだけを走り渋谷駅を目指す。山手線や副都心線とほぼ並行する。
しかし大ターミナルである渋谷駅前が終点かといえばそうではなく、池袋から走ってきて原宿を過ぎたあたりで山手線をくぐり、神南一丁目を経由してスクランブル交差点やセンター街の目の前にある渋谷駅西口に停車、渋谷駅を正面にして山手線ガードをもう一度くぐり、明治通りに出て渋谷駅東口に停車、そのまま池袋駅東口を目指して戻っていく経路だ。
池86系統はこのような循環路線なので、渋谷駅で全員がいったん下車する必要はなく、必要であればそのまま乗り続けても構わない。つまり乗降できる区間は始発の池袋駅東口から終点の池袋駅前東口の各停留所ということになる。運賃は乗り通しても均一なので210円だ。
循環かつ一方方向の路線
さて今回、主題になるのは始発と終点が同じ路線で、さらに路線が一方方向にしかない循環路線だ。経路の関係で一部が重複するルートやバス停がいくつかあるが、なかなか壮大で時間がかかるルートだ。
前述のとおり、同じ道路を通り、または交差することはあるものの、終点まで乗り通すと始発地に戻ってくる。乗り過ごしたと思って慌てて下車して反対方向のバスに乗ろうとしても、基本的にそんな路線はないということだ。つまり反対側にはバス停はないという意味である。(一部の路線重複区間は除く)
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