なんで往復で違う道を!? そのワケ教えます!

コミュニティバスに多い形態

 このような路線形態はコミュニティバスに多い。逆方向の隣のバス停まで乗ることは相当な遠回りになるばかりか、終点で一度下車して始発のバスに乗り換えなければならない不便さがある。

 しかしコミュニティバスはその不便さを甘受しつつも、単純な1本の路線のみしか設定しないことによる経費の節減、わかりやすい路線、反対方向に走るバスが不要なことによる車両や乗務員の効率運用等のメリットが大きいことから、この形態をとるケースが多い。

渋谷区のハチ公バス
渋谷区のハチ公バス

 記者が乗車したことがあるコミュニティバスで壮大な超大回り経路だったのが、渋谷区のコミュニティバスである「ハチ公バス」の「恵比寿・代官山循環 夕やけこやけルート」だ。始発地は渋谷区役所だが終点の渋谷区役所までは1時間20分程度かかる。

 渋谷駅から東急東横線で3分の次の駅である代官山駅までの行程が、このバスに乗ると90分以上かかる。逆に代官山駅から渋谷駅までは一方方向のため15分もかからない。

それでも乗車数の多い人気のバス

 そんな不便なバスにだれが乗るのかと思いきや、意外にも乗車は多く便数も多い。確かに鉄道駅相互間を単純に移動するのであれば、電車に乗ったほうが便利だし早い。

 しかし駅間の停留所にある施設や坂の多い渋谷区内を短距離移動するのであれば、コミュニティバスは力を発揮する。特に高齢者やベビーカー利用のママが乗車するケースが多いように感じる。

「恵比寿・代官山循環 夕やけこやけルート」路線図
「恵比寿・代官山循環 夕やけこやけルート」路線図

 運賃が100円で使用車両が日野ポンチョなので、狭い道にもどんどん入ってく。まさに「痒い所に手が届く」バスなのだ。もっとも、地方の自治体が運営する鉄道もバスもない交通不便地域で運行するコミュニティバスとは根本的に目的が異なるのは仕方のないことだ。

 始発から終点まで乗る人はあまりいないだろうが、目的地の至近にバス停があればこんなに便利な乗り物はないというのが多くの東京都特別区が運行するコミュニバスの存在意義なのかもしれない。

 ものすごく狭い急坂をポンチョが駆け上っていくのは乗っていてゾクゾクするほど痛快だ。ポンチョの実力がいかんなく発揮されているので、試し乗りをしてみるのも楽しい。

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