スケルトンのバス!? モノコックって? バスの怪しい専門用語が謎すぎる

スケルトンのバス!? モノコックって? バスの怪しい専門用語が謎すぎる

 バス趣味で頻繁に使われる専門用語の中に、「モノコック」と「スケルトン」がある。これらはバスにとってとても重要な意味を持つが、それぞれ何を表した用語だろうか?

文・写真:中山修一

■モノコックとスケルトンの大まかな意味

1960年代のモノコック路線バス
1960年代のモノコック路線バス

 「モノコック」と「スケルトン」…ラフに言うなら、いずれもバスの車体の作り(構造)に関連する専門用語だ。

 自動車は停まっている時も走らせている時も、何かしらの負荷が車体にかかる。普通に使っているだけで車体が負荷に耐え切れず、歪んだり崩れたりすると大変困ってしまう。

 車体を頑丈に作って強度を確保すれば歪み等の問題は解消できる。それを実現すべく、どうやって強度を持たせるかの方法を表したのが、「モノコック」又は「スケルトン」というわけだ。

■飛行機がルーツのモノコック

 時系列ではモノコック(モノコック構造とも言う)のほうが先行している。元々は飛行機向けに考え出された技術だ。

 20世紀始め頃に作られた、複葉機と呼ばれる翼が上下2段になっている黎明期の飛行機は、大量の支柱や骨組みとワイヤーを組み合わせて、外側を布張りにして包む構造が多かった。

 そういった構造の飛行機は製造しやすい利点があったものの、機内にも支柱やワイヤーが張り巡らされる仕様のため、人や荷物・武器兵器を大量に積みたい大型機には都合が悪かった。

第一次大戦期に作られたアルバトロスB.II偵察機
第一次大戦期に作られたアルバトロスB.II偵察機

 機内スペースを広く取るためなど、目的や理由は様々だったと思われるが、それまでの飛行機が持っていた弱点を解消するべく、生まれた技術の一つがモノコック構造だった。モノコックには機体を軽くできる利点もある。

■バス=モノコックな時代

 飛行機で使われていたモノコックの技術を基にして、日本でバス車体の製造が始まったのは1949年のことだ。

  モノコック以前のバスのボディは、走行装置類を取り付けたラダーフレームと呼ばれる強固な下回りにボディとなる骨組みを載せ、鉄板など薄い板をかぶせ外板にして、ボディを完成させる手法が定番だった。

 それに対してモノコック構造は、骨組みを使わずに外板だけで組んだボディと、車体の下回りに相当する部分が一体型になっており、ボディを形作る外板や車体底の床板など「外殻」にあたる箇所を利用して、車体にかかる負荷を支える仕組みだ。

 飛行機のモノコックと同様に、車内スペースが広めに取れるほか、重量を軽くできるメリットが挙げられる。昔のバスはエンジンの出力が低かったのもあり、軽量化は強みでもあった。

 メリットの反面、強度が落ちてしまう理由から、窓などの開口部をあまり大きくできない弱点もなくはないが、結果としてバス車両=モノコック構造が主流の時代が長く続くことになった。

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