陸海空のあらゆる公共交通として供される乗り物の中で、免許さえあれば趣味で乗れる(運転・操縦できる)現実的なものはバスである。マニアならば一度は公道で自由に運転したいのが大型バスだ。しかし買うには高いし、車庫証明の問題もある。だったらレンタカーでと言いたいところだが、残念ながらそうはいかないのだ。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(写真はすべてイメージで本文とは関係ありません)
■現実的に乗れるのがバス?
もっともマニアが多いであろう鉄道は、免許があっても鉄道車両を運転することは現実的に難しい。イベントや、本線に進路が開通していない場所で一時的な運転ならば免許がなくてもできないことはないが、かなり限られるし自由に運転というわけにはいかない。
船舶は小型船舶であれば免許を取れば比較的自由に購入して乗り回せるが、大型船舶は趣味でというわけにはいかない。免許そのものが乗船履歴がないと取れないし、仮にあったとしても一人では動かせないのが大型船舶なのだ。
航海士の免許があっても機関士が必要だし、機関士の免許があっても航海士が必要になる。両方の免許を持っていても兼ねることはできないのだ。
航空機も同様に小型の単発機であれば免許を取って飛び回ることは可能だが、一般人が購入して維持していくにはハードルが高すぎる。大型の旅客機ともなれば自家用というわけにはいかず事業用の免許が必要で、船舶と同様に一人で飛ばすものではない。ボーイング社やエアバス社に行って「コレください!」と言って買えるものでもない。
■バスは買えるが…
そこでバスという選択肢が浮上するという若干無理がある流れになるのだが、免許は現有免許の種類にもよるが50万円程度で取れるので難しくはない。自家用専用であれば大型一種でいいのでもっと安い。あとはバスを買うかどうかの選択になる。
バスは中古車も売られているので、車庫証明が取れる敷地と、整備をしてくれる工場さえ確保しておけば購入して乗り回すことは可能だ。マニアの中にはダブルデッカー車を購入している猛者もいる。もっとも事業用ではない自家用なので、家族や仲間を募って趣味として乗るしかないのは言うまでもない。若干コストパフォーマンスは悪いが楽しそうな趣味だ。
■買えないならレンタカーで?
自家用車を持ってなくても必要な時に借りるレンタカーがあるように、バスだって自動車なのだから借りればいいという発想が出てくるのは人情だ。しかし、そうもいかないのが厳しいところなのだ。
レンタカーは許可事業で、国土交通大臣の委任により地方運輸局長の許可がなければ事業を営むことはできない。ちょっと難しいが、国土交通大臣の許可が必要だと定めているのは「道路運送法」だ。
しかし、いちいち国土交通大臣が審査をするわけにもいかないので、「道路運送法施行令」という国土交通省令で、その権限を地方運輸局長に委任し、さらに運輸監理部長や運輸支局長に再委任することが定められている。
そしてようやく具体的に許可申請の要件が「道路運送法施行規則」で定められている。しかし、これ以上の具体的なことは法、省令、施行規則と下がってきても記載はない。もっと具体的な話は、国土交通省自動車局長の「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて 」という通達によって決められているのだ。
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