■バスにはめっぽう厳しい?
ではレンタカーで借りることができる(貸すことができる)区分はどうなっているのかというと、自家用乗用車・自家用マイクロバス(乗車定員11人以上29人以下であり、かつ、車両長が7m以下の車両に限る)・ 自家用貨物自動車・特種用途自動車・二輪車である。つまりバスはマイクロバスしかレンタカーにはないのだ。
ご丁寧に、「貸渡自動車の車種は以下の車種区分によることとし、自家用バス(乗車定員30人以上又は車両長が7mを超える車両に限る)及び霊柩車の貸渡しを行ってはならない」とまで書かれている。特にマイクロバスの場合はさらに厳しい通達が示されている。
通達は、「自家用マイクロバスに係る貸渡しについては、従来より貸切バス経営類似行為の防止について指導を行ってきているところであるが、なお、貸渡しに付随して貸渡人が運転手の労務供給を行う等の貸切バス経営類似行為が跡を絶たないのが現状である」と警告している。
要するにレンタカー屋がマイクロバスに運転手を付けて、あるいは運転手をあっせんして貸し出すと、それは貸切バス事業と同じになるため、そういうことをしない事業者に限るとして様々な規制を設けている。日本のレンタカーは借り受け人が自ら運転することが原則だからだ。
■大型バスがダメな理由
では大型バスがダメな理由はというと、明文化されたものは存在しない。通達にある貸し出しの車種区分に入っていないから駄目だとしか言いようがない。
しかし法的な根拠はなくても理由は明らかだ。白タク行為や闇貸切バスの防止のためだ。最近インバウンドの増加により、空港や開港で客待ちをしている白タクが問題になっている。外国通貨でデジタル決済済みの状態でミニバンで客を運ぶ外国人が行う白タク行為だ。
日本国内では料金の授受をしないので摘発が難しく、警察も内偵捜査を経て客からの供述で検挙するしかなく、東京の観光地ではあからさまにミニバンやワゴン車の路駐車が並んでいるのはご存じの通りだ。
現状は普通自動車の枠内で定員10名の車で乗客9名までを乗せることしかできないが、こうした行為を大型バスでやられては貸切バス事業者はたまったものではない。よってレンタカーで大型バスはダメなのだと推測される。
■買うか?運転させてもらうか?
趣味でバスが買える人はそれで良いが、大多数の方はそうではない。それでもマニアのためにすでに製造が終了している中型(全長が7mに満たない)短尺のハイデッカー車を用意してレンタカーで貸し出してくれる事業者もあるにはある。しかし極少数で、製造していない車種しか残っていないので、経年劣化での故障や修理不能車も出てきて、もはやなくなるのは時間の問題だろう。
どうしても大型バスを運転したければ、大型二種免許の教習を行う自動車学校が実施しているペーパードライバー教習に申し込んで決められたルートとはいえ、免許はあるので運転技術さえ基準に達すれば公道で運転することは可能だ。中には大型ハイデッカー車を持っている教習所もあるので問い合わせてみるといいだろう。
「そんなに好きだったらバス会社で運転士になればいい!」という声が聞こえてきそうだが、職業となるとまた別の問題なので、それは改めて方策を考える必要がありそうだ。今回はあくまでも趣味の範囲でというお話だ。
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