現在は塗装/ラッピング技術の発達によって、自動車のボディにも多彩な表現ができるようになった。とはいえ、凄く身近な題材ながらも、実際に盛り込もうとすると強烈な難しさを感じるのが「花柄」だ。昭和の時代には白物家電に一時、花柄がトレンドだったこともあるとのことだが、こと自動車となると……と思いがちだが。
文・写真:中山修一
(花柄のバスの写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■乗用車ではまずやらない? 花柄ボディのクルマ
街中を走るクルマを見ていて、花柄のステッカーやラッピングが、まんべんなく施された普通乗用車に出会す機会は凄く少ないを通り越して、だいぶゼロに近い気がする。
花柄がよく目立つのは周知の通りで、殊に個人使用のクルマとなれば、走る先々で誰彼構わず振り返られてしまうのは乗っていて恥ずかしい……
……と考える向きが多数を占めるかどうかは、データを取ったことがないので分からないが、自動車メーカーが純正ボディカラーのラインナップに、花柄を用意しているような話はあまり聞いたことがない。
もちろん、好みでマイカーを花柄にドレスアップしている人もいるハズ。そんなケースを除いて、花柄の普通乗用車の自然な使い道を考えるとすれば、お店やイベントなどのPR目的が適任か。
■花柄をサラリと着こなすベストなアイツ
普通乗用車では何かと刺激が強すぎる花柄であるが、公道を走る乗り物で唯一と言って良いほど、自然に花柄を着こなす存在がいる、バスだ。
バス車両だと不思議なことに、車体一面が花で彩られていても「なんか凄いの来たぞ!」のような衝撃をそれほど受けず、広告か何かかな? くらいに受け止められる。
バスに広告は付き物であるのと、多種多様なラッピング車が登場している昨今の状況も手伝い、バスならどんな図柄に化けたっておかしくないという先入観から、花柄ボディと対峙しても、バスだけは冷静な目で見られるのかもしれない。
実際のところ、街中を走る花柄のバスは、商品やイベント・会社などのPR目的で仕立てられた、いわゆる広告ラッピング車がけっこう目立ち、「花柄のバス=商用PR向け」のイメージが強いのも確かだ。
■広告じゃない花柄のバス
広告ラッピング車が多々いる一方で、これと言った商用の宣伝目的を持たない、バス会社の標準カラーであったり、特定路線の専用カラーに花柄が使われているバスはあるのか、ちょっと気になってきた。
過去に各地で撮影した写真を漁ってみると、それらしいものがポツポツ出てきた。さらに各地の花柄バスの動向を軽くリサーチしてみて、もう少し掘り下げてみる。
すると、該当デザインの車両が出没する(していた)地域の一例として、北海道富良野市、新潟県柏崎市、群馬県川場村、埼玉県深谷市、埼玉県鴻巣市、東京都板橋区、東京都北区、愛知県大府市、兵庫県小野市、兵庫県市川町、香川県さぬき市、徳島県徳島市、長崎県五島市、などがヒットした。
普通の路線バスの標準カラーに、花柄を盛り込んだバス会社もあるにはある。とはいえ、どちらかといえば、日野ポンチョほか小型バスを用いた、マクロな範囲の移動をサポートするコミュニティバスや町営バスが、より積極的に花柄を活用している印象を持った。
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