酷暑続きだった夏の気候も緩和してきはじめた。ならばせっかくなので色々な場所を旅してみたい。日本国内だって、まだまだ訪れたことがない地方はたくさんあるし、休みが取れるなら出かけてみたい。しかしそんな時、交通費を見て愕然とするまでが“お約束”……なのだが。
文・写真(特記以外):橋爪智之
構成:中山修一
■先立つ物とのせめぎ合い
まず、新幹線でどこかへ行こうとするなら、さほど遠くないと思う場所でも軽く5,000円以上、1万円越えなどざらである。
以前なら青春18きっぷを利用する手もあったが、最近は連続5日間使用(以前のように使う日を選べない)のみとなって使い勝手が悪くなり、毎日列車を利用しなければ利用価値がなくなってしまった。財布の中身を見ながら、ほかに何か良い手はないだろうか…と思案する。
ふと、若者に人気という高速バスの存在を思い出す。数ある移動手段の中でも高速バスは特にリーズナブルらしい。
いったい、他の交通機関と比較してどれくらいの差があるのだろうか? ちょうど福島へ出かける用事があったので、東京〜福島間の大人普通運賃を調べてみることにした(いずれも2025年9月現在の金額)。
■鉄道は全体的に高額な運賃体系
まず新幹線。東京都区内発で、福島駅までの金額を調べてみたら、通常期で自由席8,580円、指定席9,110円、グリーン車12,770円、グランクラス15,920円(いずれも乗車券+特急料金の合算)であった。
自由席でも8,500円以上、往復では17,000円を超える……なるほど、なかなかの金額であるが、約1時間半という所要時間はかなり魅力的だ。時は金なりとはよく言ったもので、これなら目的地でたっぷり時間を使うことができる。
もし、在来線の普通列車だけを使って移動するなら、乗車券代は4,840円。これなら往復でも10,000円を超えないからかなりお得だが、乗り換えは5回にも及び、所要時間も5時間前後かかる。
単純な移動だけなら、景色を眺めながら5時間かけてゆっくり移動するのも悪くはないが、早朝出発しても到着はお昼頃。これでは日帰りで用を済ませるのはなかなか難しい。
前述の青春18きっぷなら、3日間用10,000円(1日当たり約3,333円)、5日間用12,050円(同2,410円)とさらにお得だが、連続3/5日間というのはあまりに使い勝手が悪く、ただ鉄道でひたすら移動する人以外、利用価値はなさそうだ。
■高速バスという選択肢
さて、では本題となる高速路線バスはどうだろう。
東京〜福島間で見ると、JRバス東北、ウィラー、桜交通、東北急行バス、ジャムジャムエクスプレスといった会社が検索に引っ掛かる。
運賃は変動制なので、曜日や日付によって細かく異なっているが、最安値はなんと2,600円! これは安い!!
無理やり青春18きっぷを使った金額と比較しても、ほぼ大差ない金額で東京〜福島間を移動できるというわけだ。在来線の普通列車のように、途中で乗り換える必要もない。
もちろん、これはある特定の会社(路線)や日付だけの金額で、最安値は概ね2,700〜4,000円の範囲で推移しているようだ。
また、座席の種類によっても値段が異なり、横4列の座席幅が狭い車両は安く、シートピッチが広い車両や、横3列シートの車両は当然もう少し高額になる。
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