2025年10月現在のところ、日本で最も長い距離を走る一般路線バスは、奈良交通が運行している「八木新宮線」の169.9kmと言われるが、では2番目に長い路線とは一体どれだろう?
文・写真:中山修一
(バスマガジンWeb/ベストカーWebギャラリー内に、おそらく日本で2番目に長い路線バスの写真があります)
■「おそらく」日本で2番目に長い距離を走る路線バス
高速道路に一切乗らず予約制でもない、いわゆる一般路線バスの枠組みで見ると、日本で2番目に長い距離を走るものは、おそらく北海道の阿寒バスが運行する「釧路・羅臼線」だろう。
釧路・羅臼線は、道東の大都市の一つである釧路市内と、東の果て・知床半島東側の拠点と言える羅臼の町との間を結ぶ一般路線バスだ。
阿寒バスの公式データを参考にすると、羅臼行きと釧路行きとで走行距離が若干異なり、前者が165.2kmで後者は164.8km。
上り/下りを平均して165kmもの距離を一度に走る、いずれにせよ一般路線バスとしては超長距離ランナーだ。
■羅臼→釧路行きでプロファイル観察!
何年か前に釧路駅前のバスターミナルで羅臼行きの時刻表を目にして、「こんな遠くまで行くのあるんだ!?」と大きな関心を抱いて以来、釧路・羅臼線のバス像がずっと気になっていた。
2025年9月に、羅臼発釧路行きの便に乗れるチャンスに恵まれ、滅多に来られる場所でもないということで、この機会を利用してバスのプロファイル観察をすることにした。
現在は平日1日3往復、土日祝2往復と、しっかりローカル路線バスの本数しているのと、羅臼エリア外にアクセス可能な通年運行の公共交通機関はタクシー以外これしかないため、発車時刻だけはダブルチェックを心がけたいところ。
■東京出身のバスが働く
釧路・羅臼線に使われている車両に注目すると、よく街中の短距離路線で見られる2扉タイプの路線車ではなく、高速バス向けの12m級ハイデッカー車が入っていた。
当日の車は2003年式の日野セレガR。元は東京空港交通(エアポートリムジン)に在籍していたようで、製造から20年以上を経た東京出身のバスが、北海道の東の果てで今も元気に働いている。
さらに同車にはトイレが付いている。165kmもの長い距離を走るバスとなれば、使う/使わないに関わらず、車内にあるだけで嬉しい設備。より安心して道中を過ごせる。
■高速バス的運賃収受
羅臼13:00発の便に間に合うよう現地まで移動。このバスは羅臼営業所〜市立病院前が全区間になり、通しの運賃は4,990円。
羅臼営業所〜釧路駅前間の場合は4,940円。車内での現金精算のほか、営業所の窓口で事前に切符を買う方法もあり、羅臼営業所の窓口ではクレジットカードも利用できた。
さらに2025年9月からは、Webでの乗車券購入に対応するようになった。形態はあくまで一般路線バスながら、高速バス的なチケットの買い方もできる、バラエティに富んだ運賃収受システムだ。
■海を離れ、内陸を突っ切る
バスが羅臼営業所を出発すると国道334→335号に出て、以降46kmほどの区間をずっと海伝いに進んでいく。
当日はあいにくの雨模様であったが、よく晴れている日に当たれば進行方向左側に、蒼さの映えるオーシャンビューが所々に姿を現してくれるはず。
46kmほど走り、シャケが名産の標津の町に入ると方向を変え、国道272号をメインルートに、内陸部を突っ切るようにして釧路を目指す。
全体的にはあまり高低差を感じない経路となっており、GPSロガーが記録した数値を元にすると、最大標高は133mだった。
出発1時間半後くらいに、周辺では規模の大きな町で空港もある中標津にバスが立ち寄る。
釧路・羅臼線の標津〜中標津周辺の区間に関しては、1989年まで営業していた鉄道路線、JR標津線の代替バスの役割を一部担っているのも見どころだ。




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