日本初の電気ボンネットバスだけに“本物”でなければ!!
あれこれ考える中で次のボンネットバスをどうすべきか悩む中、「少なくとも普通のマイクロバスにボンバス風ノーズを偽装するだけのような、安易な事だけはしたくなかった」と谷島社長。
かといって本物ビンテージバスをレストアして運行することは現実的ではない。暗中模索の中、中国調査で出会ったのがヤーシン製のEVボンバスだった。
それがおよそ2年前のこと。それからは谷島社長と小野社長が共に博物館を巡り、改めて古き良きボンネットバスを調査するところから始め、キャッチボールしながらデザイン案を煮詰める。谷島社長の要望を採択しつつ、国内法規への適応を図るのが小野社長の役目だ。
谷島社長は、「EVなら車体構造が簡単な面があるので、オリジナルのボンバスを自社開発できると判断しました」と微笑む。そこにオノエンジニアリングのノウハウも生きてくるわけだ。
街づくりで大切な要素には「差別化」があるという。飲食業でもおもてなしの方法にそれぞれ工夫をこらし、ある日本料亭では食器美術館を併設し国宝級の逸品を披露している例もある。
お客様をお乗せするバスも同様に差別化が大切で、その表現のひとつとして本物のボンネットバスが相応しい。そこに「日本初の電気ボンネットバス」を走らせればさらなる誘客要因にも期待できると言うわけだ。
EVバスの導入コストはまだまだ高いが、今回は少し大型化して対応している。従来のボンバスは26人乗りだったが、今回の新型は41人乗り。全長も6720㎜から7540mm、全幅も1990mmから2360mmへとサイズアップしているが、小回り性能などは小江戸を巡るコースにも対応している。
むしろEVには変速機が無く、ボタン操作の完全オートマチック仕様。運転席も上質な物が奢られており、ドライバーの快適な職場環境が得られている点も見逃せない。
運行はまだ6月に始まったばかり。イーグルバスはEVバス事業を展開するパイオニアとして、多くの実用データを収集中だ。今後の活躍の中で、EVに相応しい使い方やメンテナンスなど、貴重なデータが集まることは間違いなく、今後のバス事業の指標となることへの期待値も大きい。
あえて不安材料を訪ねると「使用部品のクォリティーが日本のレベルに及んでいない」と回答してくれた。ただヤーシンの生産工場では、日本向けのものは特別丁寧に取り扱われているそうだ。
耐久性も含めてこれから判明するであろう事柄も多い中、データの蓄積でイーグルバスが先行していくことは間違いないのではないだろうか。日本初のこのトライに本誌も注目していきたい。