首都圏からのアクセスも抜群、埼玉県の観光スポットといえば川越[小江戸/蔵の街]だ。そのホットな観光ポイントを巡回するバスが毎日元気に運行されている。イーグルバスが運行する、その名も[小江戸巡回バス]。
これまでも蔵造りの家屋が軒を連ねる街並みによく似合う、観光ムード満点のボンネットバスが運行され大人気だったが、このたびEVのボンネットバスがデビューした。
同社・谷島社長のプロジェクトに協力したのは、本誌でおなじみのオノエンジニアリングだ。
執筆:近田 茂
取材協力:イーグルバス株式会社/オノエンジニアリング
(バスマガジンvol.102より)
ネオクラシカルな最新ボンバスが蔵の街に溶け込んでいる
電線を地下埋設し電柱を廃除した街。「小江戸/蔵の街」は川越町おこしで取り組まれた観光地化の成功例としても有名な土地。本物の蔵のある建物が並ぶ約400 mの商店街を始め、連馨寺や氷川神社に喜多院、そして市立博物館・美術館など、訪れる客を1日中飽きさせる事なく存分に楽しませてくれる。
そんな話題の街で、川越駅西口を起点に本川越駅を経由して小江戸を巡回する小型バスを運営しているのが、今回取材させて頂いたイーグルバスだ。
すでにお気づきだろうが普通のバスではない。見たことない珍しい形のボンネットバスは、実はゼロエミッションのEVでもある。
それもそのはず、イーグルバスのこだわりは、フェンダーやボンエットなどの外装と室内装備までをオリジナルデザインで専用開発したのだ。
神殿のように立派なラジエターグリルの頂点には、イーグルバス社のマスコットが特注オーナメントとして誇らしげに飾られている。
輸入販売と内外装のカスタムビルドを手がけたのがバスマガジン本誌でお馴染みのオノエンジニアリング。イーグルバスの谷島社長と小野社長とーのご縁は、古いボンバスのメンテナンス事業を請け負ったことから始まったそう。
もともと小江戸の街にふさわしいバスはクラシカルなボンネットバスが運用され、オーテックジャパン製のモデル(日産シビリアンベース)が使われていた。
初代導入は1997年。2004年には3 台体制で巡回し、蔵の街の顔として定着。しかし経年劣化により代替え期になった時、ボンバスの生産は終了してしまっていた。
だからといってレトロムード満点の蔵の街に、安易に普通の新型バスを導入することはできない。街自体がこだわりの強い川越で、いまさら普通のバスの選択は考えられなかった。
EVという意味では「日野ポンチョEVがありましたが実用運行で60km。小江戸巡回バスの運行は1 日65km走れないと役に立ちません」(谷島社長)。