往時は平日でも2台運行する盛況ぶりだった 立川バス唯一の夜行便 【高速バスアーカイブ15弾】


「シャルム号」/立川バス(対向 山陽電気鉄道/現・山陽バス)

 古き良き、高速バスが百花繚乱だった時代のルートや車両をアーカイブ記事として紹介するこのコーナー。今回はベッドタウンとしても賑わう立川と神戸を結ぶ長距離バスだ。

 夜行長距離バスの開業が続いた盛況の中、東京発に続き横浜発、そして山手線駅以外を起終点とする路線も開業を始めた。1990年に西東京バスが八王子から京都、大阪へと運行を開始し、立川バスは翌1991年4月に神戸への運行を開始した。車体塗装は1カ月前の3月に開業した成田空港行きと同じ、緑色の新デザインだった。

執筆/写真:石川正臣(バスマガジンvol.97/2019年9月刊より)

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中央高速で関西に向かう、立川発着便ならではルート

立川バスシャルム号。当時は現在とは異なるカラーリングだった

 ある夏の日、このシャルム号に乗車しようと、起点となる砂川営業所に赴いた。平日でも2台運行となるほどに大人気の路線、乗務員さんたちは出庫準備に追われていた。

 時刻になると点呼を終えた4人の運転士が2台のバスに2人ずつ乗り込んで発車。玉川上水駅に続き、メイン乗降地となる立川駅北口へと向かう。ビアガーデンの看板も目に付くかたわら、帰宅するサラリーマンたちは真夏なのにもかかわらず、背広を着て暑そうに思えた。

 まだクールビズが周知徹底されていなかった時代だ。その1人がバス乗り込んできた。せっかくなのでこの出張サラリーマン氏に聞いてみると、背広生地が麻なので見た目ほどは暑くない、と笑った。

 この2駅で乗車は完了し、運転士の挨拶があり「まもなく消灯するので明るい今のうちにトイレや飲み物など、必要な方は準備を」と案内があった。

 立川というの地の利の良さもあり、スムーズに中央高速入りした。東名高速とは違い、夜行高速やトラックの路線便も少なそうで走りやすい。しかし東名に比べて車線は狭く、起伏が多いのは運転士泣かせだという。

強烈な朝の日差しを受けて終点垂水駅に到着

 上り坂から下り坂になると、光輝く夜景の甲府盆地が迫って来る。ここへ突入するかのようにグングンと坂を下りていく。諏訪湖を過ぎれば西へと進路は変わり伊那へ。愛知県へ入り東名名神へと合流する。

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