【高速バスアーカイブ第1回】 船にバスごと乗り込む!! 別府ゆけむり号に乗る


 高速バスを振り返る「高速バスアーカイブ」。第1回はバスマガジンVol.92にて取材した珍しい形態の高速バスをお届けしよう。

 朝のラッシュも終わり、午前中の落ち着いた時間が訪れる頃、広島バスセンターの先頭に着車するバスがある。

 それは大分行きの「別府ゆけむり号」だ。先頭に着車するこの「ゆけむり号」は、広島市内の眺望をゆったりと眺めながら発車。そしてなんと広島駅には立ち寄らずに西へ向かうのだ。

【画像ギャラリー】湯けむり香る別府行き!! フェリーに乗り込む高速バス

執筆/写真:石川正臣(バスマガジンvol.92より)


バスごとフェリーに乗り込むダブル乗車の楽しさが旅の味

広交観光の車両。車種はなんとヒュンダイ・ユニバースだった

『別府ゆけむり号』広交観光バス(大分交通)
広島バスセンター―徳山駅―スオーナダフェリー乗船―豊後高田―別府港―大分駅

 センターを出発した 「別府ゆけむり号」は広島インターから高速道路に入り、外車であるが乗り心地はなかなか良好。最後部にトイレがあるが、よく見かける国産車のそれとは違い、進行方向右側に設置されている。

 長時間運行の中ではしばしの高速走行、左右ともに山に囲まれ緑一色の高速道をひた走る。徳山東インターまでは約1時間、徳山駅でも乗車扱いがある。そして下記からすぐの徳山港に移動、そしていよいよ乗船だ。

相手側の会社は大分交通だ。今回は乗車の機会が無く、残念だった

 昼食時間にかかる行程ながら船内には売店がないので、休憩を兼ねて近くのコンビニが案内される。バスに戻り待機していたフェリーにバスごと乗船する。乗客は車両甲板でバスを下ろされ、船内へと案内される。

 乗船した船はスオーナダフェリー。甲板に出るとすでに離岸しており、徳山の工業都市を背後に九州へと向かう。船内のテレビはもう大分の放送になっていた。

起点は広島バスセンター先頭。後姿が大きく見えた

 ウイークデーだと乗客は乗船すると眠る人が多かったが、この時は週末だったせいか一緒にバスに乗ってきた人は観光目的の人が多く、潮風を受けながらビールで乾杯し、昼食を満喫していた。

 九州が見え、竹田津港が近づくとアナウンスがあり再びバスへ乗車。フェリーの正面リッドが開けば、折り返し徳山へ向かう車たちが待機しているのが見える。その先頭には大分発の大分交通のバスが待機していた。

化粧室は進行方向右側。多くの国産車両とは逆位置だ

ラストスパートは空いた車内から夕景を堪能。そして終着

 フェリーを下りるとまた陸路の旅だ。交通量少ない九州の道をスイスイと走る。真玉海岸の美しき海岸線をしばらく走り、豊後高田市に到着した。昭和の街として名高いためか、ここで降車する人が目立つ。

船が大きな口をあけてやってきた。いよいよ乗船だ
そして九州に到着。名残惜しいが下船。再びバスに戻る

 次なる降車場所はさんふらわあが停泊している目の前、別府だ。ここまで同行していた年配者グループも含め、ほとんどの人が降車していった。さすが名高い温泉地、今夜はゆけむり漂う温泉街での楽しい宴会が待っていることだろう。

 車内は一気に静かになり、陽の傾いた別府湾の海岸線は静かな旅のラストスパートとなった。大分市内に入ると、仕事から帰宅する市民の中に到着。

いよいよ九州の地を踏みしめる

 かつては利用者も多く盛況路線だったが、観光客中心で平日の都市間利用者は少なく運行は取りやめとなってしまったが、楽しい船旅と九州のバス車窓は思い出残る旅であった。

 休日のみの運行としてでも再開されれば、また楽しい船旅とバス旅のコラボが復活するだろう。

九州に入り、ラストスパート時の車窓風景は、夕景の真玉海岸だ

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