今回は離島の空港バスを紹介しよう。といっても「離島にわざわざ紹介するような空港バスなんてある?」と思われる方も多いであろう。
それもごもっともな話で、多くの離島では路線バスがただ空港に行くとか空港を経由するだけで、「エアポートバス」と呼べるようなものはない。ところが実はこんなステキな例外もあるのだ。
文/写真:谷川一巳(バスマガジンvol.87より)
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【画像ギャラリー】一般路線と空港便が融合して機能している離島の空港バス
■「路線バスが空港に寄る程度」の離島のバス
日本の離島で定期航空便が発着する空港は、北海道の利尻・奥尻、東京都の伊豆七島、島根県の隠岐、長崎県の壱岐・対馬・五島、熊本県の天草、そして鹿児島県と沖縄県の島々である。
離島といっても、たとえば奄美大島では名瀬市内中心地から奄美空港まで、しまバスで所要時間1時間以上、運賃も1100円とけっこうな距離になるが、ほとんどの離島では島内の路線バスが空港を経由したり、日に何本か空港行きがあったりと、長閑なローカル路線がほとんどである。
大島では東の岡田港と西の元町港を結ぶ道から少し入ったところに空港があり、路線バスは空港に入る便と空港には入らず、空港入口というバス停のみを通る便がある。
三宅島では島内を一周する路線があり、その途中に空港があったり、対馬では南の厳原と北の比田勝を結ぶ路線上に空港があるなど、離島では空港が終点という路線が少ないのも特徴である。
■本州の空港以上に空港バスが充実する離島とは
ところが、空港と市内中心地の間を朝から夜まで、1時間に6本のバス、それも最新のノンステップ車を中心に運行している島がある。
「1時間に6本?」それじゃ本州の主要空港より高頻度運行じゃないか!! 離島の空港にそんな需要があるの? と思われるかもしれない。しかし、これはまぎれもない事実である。
その島は東京から遠く離れた石垣島である。石垣空港と市内中心地の間は、東運輸が1時間に平得、大浜、白保経由を2本、アートホテル、ANAインターコンチネンタルホテル経由の普通1本、準急1本の計4本を市内中心の自社のバスターミナルへ運行。
カリー観光バスの空港~市内間のノンストップ便は1時間に2本、離島への船が出るターミナルへ運行している。東運輸のターミナルと離島ターミナルはすぐ近くなので、2社合わせて市内中心地に1時間に6本の便がある。
2社体制なので競争も激しく、1時間に4本運行する東運輸は540円、往復1000円。1時間に2本のカリー観光バスは500円、往復900円で、便数によって相応の運賃になっている。
しかし、1時間に2本でも本州の地方空港に比べると断然便利といえ、石垣島の空港アクセス事情は恵まれているといっていいだろう。