■1時間6本でも供給過剰ではなかった
では離島の空港なのに1時間に6本もの空港バスを運行して、それほどの需要があるのか? と疑問が湧くが、実際に乗車してみると納得の路線なのである。
空港~市内間ではあるが、東運輸の路線はその間に大型リゾートホテルがあり、途中からは市街地となる。そのためホテル宿泊者の空港への足、ホテル宿泊者の市内中心や港への足となる。
そして市内中心側では地元の買物客や通学の高校生などが利用していて、1時間に4本でも需要に対して供給過剰にはなっていないのだ。
それどころか、混雑する時間帯には「続行」を出して利用客への便を図っている。一方では、後から参入したカリー観光バスは港から空港へノンストップなので、大型ホテル宿泊者や地元客が利用できず、その分利用者が少なかった。
石垣空港の特徴もバスの本数に影響している。石垣空港へは圧倒的に那覇からの便が多く、それらの便はすべてボーイング737などの小型機である。つまり、小さな機体で高頻度運航になっているので、空港利用者は間断なくコンスタントにある。
加えて、近年は国際線利用者も加わり、台湾や香港からの利用者は、「すぐ近くの島」ということから、団体ツアーではなく、個人でこの島に降り立つので、空港バスを利用する。
■バスのサービスレベルもかなり高い
2社体制なので競争も激しい。空港では必ず次のバスをバス乗場に横付けして客待ちをし、バスに乗ると、バス会社の係員が往復割引切符をすすめる。つまり、帰りも同じバス会社を使ってくれるようにということである。
港では東運輸の便は途中の停留所になるため、「空港行」というプラカードを持った職員が立って、客を自社停留場に誘導する。
いっぽう、カリー観光バスは始発なのでバスを早めに横付けして客待ちし、出発の際には運転手が、次の便の出発時間を大きく記した札をバス停に掛けて出発する。
カリー観光バスは新規参入のため、石垣空港ではバス1台分、ターミナルから離れているのだが、運転手は「遠くてすみません」といって、大きな荷物を携えた客の荷物をターミナルのほうへ運んでいた。
ちなみに、石垣の港は、人気の観光地である竹富島、西表島などへの船が出る港で、終日観光客で賑わう。2社体制なのでサービス合戦を繰り広げているのだが、本州のバスも見習ってほしいことばかりであった。