景勝地「小倉橋」
橋本駅北口から乗車して約15分の小倉橋停留所で下車。ここには相模川に架橋された美しいアーチ橋を眺める。2本かかる橋のうち奥側が新小倉橋で、手前が小倉橋だ。
老朽化により架け替えが検討されたものの新小倉橋を新たに建設することになり、接続道路がまったく違うルートを通ることから小倉橋も残された経緯がある。
バスの系統は違うが新小倉橋も小倉橋も路線バスは通る。橋07系統は小倉橋の方だ。風光明媚な落ち着いた場所で、眺めているだけでも心が洗われる場所だ。夏場にはライトアップされたり灯篭流しが行われたりと、観光地としても一等地だ。
久保田酒造
小倉橋から順方向にまた橋07系統に乗車して約6分で無料庵停留所で下車する。妙なバス停の名称だが、これについては後述する。河原付近まで坂を下りていくと、何とも時代の付いた建造物が見えてくる。久保田酒造だ。
ここは1844年創業で蔵をはじめとして、多くの建造物が江戸時代や明治・大正期のもの。蔵の見学もできるが事前に予約が必要なので、詳細はホームページで確認されたい。
代表的な日本酒の銘柄は「相模灘」。丹沢水系の水と、おそらく長い時間をかけて育ってきたであろう蔵付きの酵母の働きもあり、スッキリとしたクセの少ないお酒だ。そしてその日本酒で仕込んだ梅酒もまた絶品で、いつまでも飲み続けていられる(と思う)ほど飲みやすく柔らかい梅酒がそこにはある。
粕取り焼酎ってご存知?
特筆すべきは日本酒だけではなく焼酎も作っていることだ。それも粕取り焼酎という記者の年代でもほとんど知らない、(日本酒の)酒粕を蒸留して得られる焼酎だ。独特の香りとクセが好みの分かれるところだが、芋焼酎に抵抗のない方であればチャレンジしていただきたい焼酎だ。
戦後日本の労働者層に出回った安価で粗悪ないわゆる「カストリ」は、この粕取り焼酎が語源ではあるが、またく異なるものであり、粕取り焼酎は蒸留する素材が芋や麦を発酵させたものではなく、日本酒の酒粕であるという違いがあるだけだ。
さて、降車した停留所の「無料庵」の名称であるが、諸説あるものの久保田酒造と関係があるというのが定説のようだ。江戸時代に久保田酒造が旅人に無料で休息できる場所を提供したことから、この名が付いたと言われている。
現在では無料で休息できる場所はないが、同社のお酒は直売しているのでお酒の大好きな方は蔵を見て味を見てはいかがだろうか。
桃月堂製菓舗
無料庵バス停からまた順方向に橋07京王に乗車、13分ほどで関停留所に到着する。下り方面バス停からは少し戻るが、上り法王バス停の目の前に和菓子店の桃月堂製菓舗がある。
ここだけで作られている「ゆず満月」は1個からでも購入可能な和スイーツだ。ゆずが当地の名産であることから、これを使用しふわっとした食感とさわやかな酸味が香るあんが特徴のスイーツだ。
千葉県からでも乗り換え1回?
関バス停から橋07系統で今度は終点の「鳥居原ふれあいの館」まで乗車する。関停留所からは約10分だ。その名の通り「鳥居原ふれあいの館」があり、目の前がバスの展開場兼折り返しバス停になっている。眼下に広がる湖は「宮ヶ瀬湖」というダム湖で、歩くのにも見るのにも優れた場所である。
ここまで来るのにかなり遠い道のりだったが、都営新宿線が京王相模原線とも直通運転しているので本八幡駅(千葉県市川市)から橋本行に乗車してしまえば、橋本駅で1回バスに乗り換えるだけで来れてしまうのが不思議だ。
「鳥居原ふれあいの館」では名産品や加工品など美味しいものから民芸品、手工業品まで幅広く取り扱っているので、掘り出し物が見つかるだろう。