ペーパードライバー教習の実際
ペーパードライバー教習でも同所に入校することになるので、入校料を支払う。これで3か月間は予約が取れる限りは何度でも通うことができる。そして1時限あたりの教習料を支払いいざ教習ということになる。
所有運転免許証で大型二種免許を持っていることを確認したら、何をしたいのかの打ち合わせだ。免許は持っているのですぐに路上に出ても構わないのだが、不安であれば習熟するまで場内で慣熟運転や指導員から出された課題をクリアしていくことも可能だ。本稿では場内教習だけレポートする。路上教習は別稿で執筆する。
では場内教習の一部を360度VR動画で収録したのでご覧いただきたい。PCの場合はポップアウトにより360度どの視点でも視聴可能なほか、ジャイロ内蔵のスマホであれば画面を向けた方向に視点が動く。
場内コースが一番難しい?
指導してくれたのは平和橋自動車教習所の営業企画担当で教習指導員の千葉尚祐さん。そして乗客とカメラマンとして営業企画担当の岡本佳奈さんに同乗をお願いした。記者が最後にバスを運転したのは数週間前だが、それは中型車で場内を5周回しただけ。
大型車を路上で運転したのはかれこれ3年以上前に、ハイデッカー車(AT車)を10分程度走らせたのが最後だ。よって完全にペーパードライバーなので、まずは場内の課題に挑戦することにした。
実際のペーパードライバー教習では、指導員と話し合って不安であれば場内から、大丈夫であれば路上教習ということも可能だそうだ。まずは千葉さんに本日の課題4つのお手本を見せてもらう。
体験取材では短縮バージョンなので実際にはもっと多くの課題をこなすことも可能だ。道路の作りだけを見れば場内の方が難しい。他の交通や歩行者や自転車はいないが、狭いコースに課題となる道路を敷き詰めてあるので難しいはずだ。
坂道発進・S字・鋭角
最初は4つの課題のうち最も簡単な坂道発進。記者が免許を取得した時代と違うのはパーキングブレーキ。ワイヤー式のパーキングブレーキと違い現在主流のエア式のホイールパーキングブレーキは緩解するか動くかの2つしかなく、ワイヤー式のようにジワジワと効き具合を調節することができない。
とはいえ大排気量ディーゼルエンジンはそう簡単にエンストすることはないので、ホイールパークに慣れればそれほど難しくはない。
次にS字路走行。S字に入る進入で失敗しなければ、最初の左カーブで右ミラーを障害物をなめるように沿わせ、カーブが反対側に向く右カーブに移るタイミングで左ミラーを左側の障害物をなめるように沿わせれば通過できる。
3つ目は二種免許独特の課題である鋭角通過だ。これは大型二種に限らず普通二種にもある課題で、1回のハンドルさばきでは通れない鋭角を1回以上3回以下で切り返して通過するもの。これも鋭角への進入と鋭角頂点での突っ込み具合を間違わなければ3回切り返しで通過できる。
当然ながら前輪を脱輪しないように窓から顔を出して見ても良いのだが、その前輪が自分より後ろにあるので前輪を見るために顔を後ろに向けるバスならではの所作が求められる。
1回切り返しで通過!
千葉さんのアドバイスのおかげもあり、1回目の切り返しで「これ1回で行けるんじゃないですか?」との声が掛かり、内輪差による左後輪の脱輪に注意しながらいっぱいにハンドルを切ると通過できた。後方からは「乗客」の岡本さんが拍手。指導員のアドバイスの的確さが際立った課題クリアだった。
最後にバス停に見立てたポールを中ドアに合わせて停止する課題を加えて4つの課題や周回を行い慣熟運転は終了。エアブレーキやフィンガーミッション(シフトレバーから電気指令でエア圧によりギアを入れる機構)、ホイールブレーキにも慣れたところで、場内教習は終了した。
ここまでの教習で、千葉さんから概ね運転は良好との「見極め」をいただき、いよいよ路上に出ることになった。