ここって高速道路じゃなかったっけ?  瀬戸大橋を“普通の”路線バスが渡るってマジ!?

■マイカーでは行けない島なのだ

 高速道路に乗ると、一般路線バスである性質上ずっと左側の車線を制限速度以下でのんびりと走る。天気の良い日ならブルーに輝く瀬戸内海を一望でき、間違いない景色が楽しめる。

瀬戸大橋の上から眺める風景は折り紙付き
瀬戸大橋の上から眺める風景は折り紙付き

 瀬戸大橋は途中いくつかの島の上を通る。琴参バス瀬戸大橋線がどうして運行しているのか……乗車してみると、それらの島がカギになっているとわかる。

 坂出方向から順に、与島(よしま)、岩黒島(いわくろじま)、櫃石島(ひついしじま)にバスが立ち寄り、各島と本州側・四国本土側へのアクセス手段を担っているのだ。

 これら3島には高速と下道を繋ぐインターチェンジやゲートが設置されているのだが、与島パーキングエリア以外は、島民や関係者の車両を除く一般車の出入りはできない決まりになっている。

 琴参バス瀬戸大橋線は関係車両の一つにカウントされるため、ゲートをくぐり島内を巡回して客扱いを行う。島外の人にとって、特に岩黒島と櫃石島へ行くには、バスが唯一の交通手段になる。

■そして県境を越えるというイベントも展開!!

 坂出方面から最後の立ち寄りポイントになる櫃石島で釣り帰りのお客さんを何名か乗せて、高速入口のランプを登るとバスはいよいよ本州側へと進む。

 高速道路通過中のイベントになるため、ちょっとニュアンスが異なるかもしれないが、瀬戸大橋線も一応は香川県と岡山県をまたぐ県境越え系路線バスだ。

 櫃石島までが香川県で、高速に戻りしばらく進み本州に入ってすぐの左側に岡山県倉敷市のカントリーサインが立ててある。

 岡山県に入り、終点の児島駅まで約5km。隣県に入ってからは短距離のうちに終わるのも、県境越え系路線バスの特徴に合致する。

 岡山県側最初のバス停は「鷲羽山北」。JR四国バスと共用の停留所になっており、高速道路上で高速バスと一般路線バスが同じ場所に停車するところがユニークだ。

 鷲羽山北バス停を経て1.2kmほどで児島ICに迫り、路線バスの高速道路旅がここで完了する。児島ICから児島駅まで約2.5km。やや大回りしつつ、高速を降りて14分くらいで駅に到着する。

四国のバス事業者が本州まで足を伸ばす
四国のバス事業者が本州まで足を伸ばす

 坂出駅〜児島駅を通しで利用した際の運賃は750円。電車で坂出〜児島を目指すと530円、所要時間15分である。

 電車よりも高額で4倍以上の時間がかかるのを踏まえれば、純粋な移動手段としての通し利用は最初から重視されていないと見える。

 とはいえ車窓からの景色は文句ナシ、一般路線バスなのに高速道路を走るユニークさも手伝い、乗ってよかったと思わせる満足度の高い乗りバス旅が楽しめる。

【画像ギャラリー】坂出から児島へ向かう琴参バス瀬戸大橋線(7枚)画像ギャラリー

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