■ぐるぐる回る運行スタイル
訪問当日は14:11に横浜駅前を出発する便に乗りバスすることにした。10分ほど前から待っていたところ、14番乗り場に集まった利用者は最終的に2名だった。
出発時刻1分前に「大黒海づり公園 スカイウォーク」と表示したバスがやってきた。2011年式の三菱ふそうエアロスターだ。始発なのに余裕なし、が第一印象になりかけたが、よく見ると「循環」の文字が。
入線時刻がギリギリなのも納得、109系統は循環バスだった。海を渡る循環バスというのも何だか奇妙なキャラクター像を描き出してくれる。
前乗り・後降りで運賃前払い方式の220円。循環ゆえ途中で降りずに1周して戻ってきても構わない。
■路線車がそのままベイブリッジを通過!! するにはするが……
手早く客扱いを済ませると、バスは時刻通りに発車した。ターミナルを出て右折後、しばらく首都高横羽線下の一般道を進み、JR桜木町駅前をかすめながら、横浜の観光エリアを突っ切るようにして、ベイブリッジへと向かっていく。
どんどんベイブリッジに近づくものの、高速の料金所へコマを進める気配を一向に見せない。山下公園の脇を通過する頃、車窓の景色から一般路線バスがベイブリッジを通るカラクリにようやく気付いた。
ベイブリッジの上こそ首都高湾岸線であるが、実は下層に「横浜ベイブリッジ一般部」と呼ばれる一般道の国道357号線が通っていて、109系統は下の道を走るわけだ。この時点で「基準緩和バス」ではないことがわかった。
ただし、ベイブリッジの下道に徒歩や125cc以下のバイク等は進入禁止となっていて、実質自動車専用道路である。ベイブリッジ通過中の109系統の乗り味自体は高速道路を走るのと大して変わらず、基準緩和バスのフィーリングそのものだ。
ちなみに109系統のうち、朝夕の「特急」に限り、ベイブリッジ上の首都高を経由する。特急には高速車が充てられるため、バスの系統が同じというだけで、下層を走る通常便とは全くの別物に感じる。
いずれにせよ、ベイブリッジを車で渡るのは気分がよいものだ。路線車に乗って高所からベイエリアの景色を眺めて楽しむというのも、ありそうでない、ちょっと変わった体験かもしれない。
■市営バスきっての“最長”路線
大黒ふ頭エリアにバスが入ると、さすが通勤用途がメインであるためか、ふ頭内にある物流センターや倉庫などの前を、くまなく巡回していく。一般車両進入禁止の場所も路線バスならフリーパスだ。
「大黒海づり公園」停留所が、109系統の折り返し地点に相当する。横浜駅前から海づり公園まで、近いように見えて何と52分かかる。ふ頭の中を巡る区間を合わせて19kmくらいまで距離が伸びるのだ。
異なる場所を結ぶバス路線と、同じ所を何度も通る循環バスを比較するのは少々強引ながら、条件を一切抜きにすれば、この109系統は横浜市営バス最長路線にあたり、総距離で約32kmにも及ぶ。
折り返し地点で下車してみるのもまた一興。ただし次の横浜駅前行きが来るのは2時間22分後である。そこまで待つなんてムリ!! というときは、鶴見方面へ向かう横浜市営17系統の循環バスで、生麦や鶴見方面へ抜ける作戦が使える。
降りずに1周してくると、わずか220円で横浜観光エリアとベイブリッジのバス周遊ツアーを堪能できてしまう。そんな風に割り切って考えるなら、驚異的におトクな路線だったりする。
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