羽田空港行きリムジンバスを筆頭に、横浜ベイブリッジを経路に含めた乗合バスの数はそこそこ多い。その中で、なんとベイブリッジを渡る一般路線バスなる代物が運行しているらしい。ひょっとして極少数しかない「基準緩和バス」か!? 正体を探りに行った。
文・写真:中山修一
■ベイブリッジ経由の横浜市営バス109系統
横浜市営バスが運行する「109系統」が、ウワサのベイブリッジを通る一般路線バスだ。横浜駅から大黒ふ頭周辺へのアクセス路線で、最短距離で結べることから、ベイブリッジが経路に選ばれている。
ベイブリッジと聞いて真っ先に思い浮かぶのが、橋上に作られた首都高速湾岸線だ。109系統の経路だけを聞くと、本来なら高速道路を走れない路線車が特例を受けて、60km/h以内で車線左側をベタ走りする「基準緩和バス」の一種かと予想したくなる。
そんなバスが横浜を走っていた、などという話は聞いたことがなく、乗りバスで確かめてみる価値は十分ありそうだ。2023年の5月に、現地へ行ってみることにした。
■「横浜そごう」の下が出発点
横浜駅には東口と西口にバスターミナルがあり、109系統は東口から出ている。横浜市営バスとしてのバス停名称は「横浜駅前」になるため、ちょっとややこしい。
さらに横浜駅前を冠しながらも、立地がJR/京急横浜駅の真隣ではなく、今や全国4店舗にまで減ってしまった貴重な百貨店ブランド「そごう」横浜店ビルの下に、横浜駅前/横浜駅東口のバスターミナルが入っている。
横浜駅前バスターミナルの14番乗り場が、109系統の発着停留所になっている。横浜市営バスなら、少なくとも30分に1本とか1時間ヘッドとか、コンスタントに便があるだろうと思い込んでいたのだが、どうやら109系統にその漠然たるイメージは通じないらしい。
やたらと時刻表がスカスカなのだ。それこそ朝の便なら10分おきくらいに出ているものの、8:17発を過ぎると次は11:11、その次が14:11、16:35と、一気にローカル線色が濃くなる。横浜市営にもこんなダイヤ設定があったとは意外だ。
この109系統、大黒ふ頭への通勤利用が主な用途で、昼間は利用者がほとんどいないらしい。令和3年度の営業係数が263という数値になっており、赤字路線であるのが窺える。
横浜市交通局の収支報告書によると、1日あたりの利用者平均は1,085人。「横浜市生活交通バス路線」として補助金を受けながら運行しているとの記載もあった。
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