■その先に続くバスって?
山間に佇む理想的なニッポンの温泉街たる杖立の落ち着いた空気感にマッタリしつつも、先へ進むのが第一ゆえ、ちゃんと次のバスへと繋げられるかが問題。
そこはあまり心配がなかった。杖立が観光地であるのと、既に県境を越えているということで、熊本県のバス事業者がアクセス路線をちゃんと用意していた。
産交バスによる阿蘇小国杖立線がそれにあたり、杖立〜阿蘇駅前を乗り換えなしで直通する、なかなか手堅い路線だ。
阿蘇駅前行きの本数が、平日6本・日祝4本と少ない(昼間は特に便と便の間隔が広い)のは杖立線と似ている。とはいえ降りて20分ほどの待ち時間で接続するようダイヤは調整されている。
こちらは、行先表示器や運賃箱などが付いた、路線車仕様のマイクロバスであるトヨタ・コースターでの運行だった。このエリアを受け持つ産交バスの路線車はマイクロバスが多いらしい。
JR阿蘇駅前まで、まあまあ距離があるようで、所要時間は日田バス 杖立線よりも長い1時間20分ほどであった。運賃は1,170円。
■縦ミッションはこれでオシマイだけど
日田駅から阿蘇駅まで、縦に移動しようと路線バスを使ったら、割とスムーズに来られてしまった。ここから先、熊本方面へはJR線に乗り換えるだけ。
ところが、阿蘇駅は豊肥本線の経路上にあり、鈍行でも特急列車でも、ごく一般的な途中停車駅となっているため、いわゆる「当駅始発」が存在しない点が突然気になり出した。
考えてみれば杖立線も阿蘇小国杖立線も当駅(バス停)始発だった。それだったら熊本まで全部始発で行けねえかな? そんな無謀なプランが浮かんできた。
■始発で行くならあの山を目指せだと!?
阿蘇駅前には熊本行きの高速バスも通るが、こちらも途中の停車スポットになるため対象外。どうにかならんのか? その結果、意外な場所を経由する選択肢が浮かび上がった、阿蘇山だ。
今度は産交バスの内牧・阿蘇駅〜阿蘇山西駅線を利用して、阿蘇山上ターミナルへと向かう。日中だけ7本という完全に阿蘇山観光向けに調整されたダイヤ設定。この日は昼間に阿蘇まで来ていたため、時間の問題はなかった。
車両はハイデッカータイプの大型高速車が使われていた。見慣れない形をしていて、どこのメーカーかと思って、車内のコーションプレートをチラ見したら韓国のヒュンダイ製だった。阿蘇山上ターミナルまで35分かかり、運賃は1,000円。
■観光が付いてくる始発バス旅
火山の上の方まで行って、そこから先どうすんのよ? 場所柄そんな不安を抱いてもおかしくない。
ところがしかし、なんと阿蘇山上ターミナル発・熊本駅前行きなる魅惑のバス路線が存在すると気付いて物凄く驚いた。
ただしバスは1日たったの1本だけ! 危ない線スレスレを掠る選択肢ながらも、始発の魅力には代えられない、といったところ。
阿蘇山上ターミナル16:00発が初バスにして終バス。13時過ぎくらいに阿蘇山の上まで来ていて、3時間ほどの待ち。阿蘇山観光が自動的に付いてきた。
熊本行きのバスはハイデッカータイプの大型高速車・日野セレガだった。このバスは山を降りてから、途中で熊本空港を経由する、観光地〜空港連絡バスの役割を担っているところがユニークだ。
今回は乗り通しが目的ではないので、その後の予定に合わせて熊本駅前の2つ手前、熊本桜町バスターミナルで下車した。運賃は1時間47分、運賃は1,750円だ。
ちなみにこのバス、高速バスの予約ポータルサイトで予約にも対応しているのと、一部時刻表サイトでは高速バスの扱いになっていることがあるが、一般道のみを走る、ハイデッカー車を使った普通の路線バスだ。
このように日田→熊本間を、通常なら最初は横に進むところを縦に下りつつ、ついでに全部当駅(バス停)始発を使って、無事バスで来られる結果が出た。
久大本線利用だと久留米乗り換えで、熊本まで新幹線約2時間・在来線約3時間。一方で今回のバスルートは、まあ早いもんですよたったの8時間二十……楽しいぞー!
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