沖縄本島の宿泊施設を一見すると、欧米のホテルにスタイルが良く似ていて、日本特有の「大浴場」的な設備の付いた宿はむしろ少数派な印象。とはいえ、沖縄にも温泉が出る場所はあるらしい。
文・写真:中山修一
(沖縄の温泉にバスで行く写真付きフルサイズ版はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■「うるま市四島」の端っこ
沖縄で温泉が出る場所の一つに、那覇市のある南部の隣・中部の、うるま市の東側が挙げられる。ここには平安座(へんざ)島、浜比嘉(はまひが)島、宮城(みやぎ)島、伊計(いけい)島が密集していて、それぞれが橋で繋がっている。
「うるま市四島」とも呼ばれるこの中で、東の最も端っこに浮かぶ伊計島に、温泉施設を設けたリゾートタイプのホテルが1軒営業しているのを見つけた。
沖縄で温泉に入れるのも何だか新鮮。それなら様子を見に行ってみようと興味を持ちつつも、ここで課題になってくるのが、そこまでバスで行けるのか、という点だ。
■オンリーワンなバスに活路を見出す
全く知らない地域へバスで行くなら、事前にマップ等で目的地周辺にバス停があるかを確かめて、そこから当日の出発点に向けて逆算していくのがルートを割り出しやすい。
例によって深く調べすぎない程度にリサーチしたところ、どうやらひとまず屋慶名(やけな)という所に出ると、うるま市四島への公共アクセス役を担っているバスが1路線だけ出ているとあった。
うるま市には、屋慶名から少々離れた所に、安慶名(あげな)というエリアもあり、ここを間違えてしまうと酷い目に遭うので油断は禁物だ。
■きょうの主役「うるま市四島経由循環バス」
当日は北部の辺土名(へんとな)を最初に出発して
辺土名→(沖縄バス/琉球バス67番)→名護バスターミナル→(沖縄バス77番)→安慶名→(沖縄バス27番)→JA与那城前
という経路でアプローチした。安慶名での27番は、77番で来た方向とは反対の車線を通るため、120mほど徒歩移動を挟む。最初それを知らず詰みかけたのはここだけの話。バス遅れてたから助かったけど……。
JA与那城から乗車するのが、目当ての伊計島まで行ってくれるという「うるま市四島経由循環バス」だ。沖縄の主要4社の路線バスではなく、コミュニティバスに近い存在。
四島循環バスは2時間に1本のペースと、あまり本数は多くないものの、ある程度狙っておけば問題なく、もし到着が遅れて1本逃しても、最終便でない限りバッファーが作れるので、利用にあたってそう身構えなくても大丈夫。
■停留所の位置に御用心
場所はJA与那城で合っているようなのだが、27番を降りたバス停の近くに四島経由循環バスの停留所が見つからない。はてどこだ? と周辺を探ると道路上ではなく、すぐ近くの「JAおきなわ」店舗駐車場の中に置かれていた。
四島経由循環バスの停留所名は「JAおきなわ与那城支店前」。周辺を散歩しながら時間を潰しつつ、30分ほど待ったのちに四島経由バスと思しき車が駐車場内まで入ってきた。
車種は事業者問わずローカル線区やコミュニティバスでよく使われる、マイクロバスのトヨタ・コースター。白地のボディに施された、現地周辺のイメージイラストと、うるま市のマスコット「うるうらら」さんのラッピングが目印。
22人乗りで、最近のモデルだと思うが、ドアが2枚折戸であるのがポイント。カタログ掲載モデルはグライドドアが基本で、最初から2枚折戸なのは幼児専用車(幼稚園バス仕様)しかない。
それを踏まえると、この四島経由循環バスで使用されているコースターは、路線車仕様にする際に特別なアレンジを加えた1台に思えてくる。
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