マイカーじゃないと行けないだと? いやいや山口県の温泉ぶらり旅なら路線バスで直行せよ!!

マイカーじゃないと行けないだと? いやいや山口県の温泉ぶらり旅なら路線バスで直行せよ!!

 公共交通機関で温泉地を旅したい時、電車の駅から遠く離れた場所は最初から「行けない」と考えて候補から外す……と、その前に、ちょこっと周辺のバス停に探りを入れると、一気に道が開けることも!?

文・写真:中山修一
(現地取材時の詳細写真ギャラリーを含む写真付き記事はバスマガジンWEBまたはベストカーWEBでご覧ください)

■1,100年以上の歴史を重ねる山口県・俵山温泉

こぢんまりした俵山温泉の表通り
こぢんまりした俵山温泉の表通り

 中国地方の山口県には温泉地が点在しており、その一つに俵山温泉がある。1,100年以上前に温泉の存在が知られ、湯治場として古くから親しまれてきた場所だ。

 クルマがやっと通れるくらいの道幅しかない表通りに、歴史を感じさせる旅館が建ち並ぶ、素朴でクラシカルな佇まいが魅力の一つ。

 温泉街ではあるものの、旅館には基本的に温泉設備(内湯)がなく、宿泊の際は外に出て、表通り沿いに2軒営業している日帰り入浴施設を利用するのも大きな特徴となっている。

■地図で見ると行けなさそう……だけど

 そんな俵山温泉はどこにあるのか。地図で見てみると、山口県の日本海寄りの内陸部に位置している。同県内には、瀬戸内海側と日本海側を南北に縦断するJR山陰本線と美祢線が通っている。

 山陰本線と美祢線は直線距離で約25km離れているが、俵山温泉は山陰本線から約14km、美祢線から約9kmの、両路線に挟まれた山の中にあり、鉄道だけでアクセスするのは見るからに不可能だ。

 この時点で、マイカーがないと行けない温泉地と判断したくなりそうだが、山陰本線と美祢線の間のエリアをカバーする交通機関=バスの一つでも出ていそうな気がしなくもない。

■やっぱりあった!! サンデン交通の路線バス

 俵山温泉には温泉街への出入口近くにバス停が置かれており、名称もそのまま「俵山温泉」だ。このバス停の時刻表から、どこへ向かう路線が発着しているかを探ってみると、周辺地域を回るコミバス等ではなく、かなり長い距離を結んでいるバス路線の経由地だと分かった。

 サンデン交通が運行する「下関〜俵山・長門・仙崎線」がそれで、山口県の瀬戸内海側と日本海側とを直通で結ぶ一般路線バスだ。まさに山陰本線と美祢線の間を補完する公共の足といった経路が組まれている。

青いボディのサンデン交通が集うJR下関駅東口のバスターミナル
青いボディのサンデン交通が集うJR下関駅東口のバスターミナル

 山口県縦断となればJR山陰本線か美祢線に目が行きがちであるが、移動手段の選択肢に路線バスまであったとは、意外なダークホースがいるものだ。

 「下関〜俵山・長門・仙崎線」の瀬戸内海側の始発・終着はJR下関駅前のバスターミナル。反対側は山口県長門市の青海島にある大泊バス停だ。距離にすると約76kmあり、同じ県内で完結する一般路線バスとしてはかなり長い。

 ただし、このバス路線は途中で運行系統が変わり、下関駅〜小月駅18kmが127系統、小月駅〜俵山温泉35kmが27系統、俵山温泉〜大泊23kmは系統番号なしだ。

 異なる3つの路線を1台のバスで通し運行する、という但し書きを付けるなら、サンデン交通のバス路線の中では“最長”クラスになるが、もっとも27系統の区間だけ抽出しても同社でトップクラスの走行距離を誇る。

次ページは : ■俵山温泉まで127系統に乗りバス

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