見て回るには路線バス必須の観光地「ポツダム」……それっていったいどこにある?

見て回るには路線バス必須の観光地「ポツダム」……それっていったいどこにある?

 「ポツダム」という地名を聞いて、どんなことが思い浮かび、どの辺りにあるのか、パッと思い浮かぶ人はどれくらいいるだろう?

文・写真:橋爪智之
構成:中山修一
(ポツダムの路線バスの写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)

■ポツダムってどこにあるの?

ツェツィーリエンホーフ宮殿へ行く603番の路線バス
ツェツィーリエンホーフ宮殿へ行く603番の路線バス

 まず「ポツダム」で思い浮かべるのは、子供の頃の社会科で習った、第二次世界大戦の戦後処理を話し合ったポツダム会談や、日本への無条件降伏を求めるポツダム宣言か。

 ではどの国の、どの場所にあるのか……ポツダムはドイツの首都ベルリンの南西、いわゆるかつての東ドイツに位置している。

 ブランデンブルク州の州都で、人口は18万人以上と州内で最も多く、ベルリンの周辺地域を含むベルリン大都市圏の中では、最も繁栄している都市でもある。

終点付近では狭い一方通行を抜けていく603番
終点付近では狭い一方通行を抜けていく603番

 一方で周辺は森と湖に囲まれ、市街地は都市全体の25%のみ、残りは森林や湖水、農地という、非常に自然の豊かな都市だ。すぐ隣の首都ベルリンからは、鉄道で約20分と近い。

 首都ベルリンの陰に隠れてはいるが、ポツダムにも多くの見どころがある。まずは冒頭で述べたポツダム会談が行われ世界遺産にも登録されたツェツィーリエンホーフ宮殿。

 ほか、プロイセン王国のフリードリッヒ2世が造営したサンスーシ宮殿、映画のテーマパークであるバーベルスベルク・フィルムパークなど、年間を通して多くの観光客が訪れる。

■首都ベルリンを含めた広域交通連合

 そのポツダムの交通網は、ベルリンやその周辺地域を含む広域の交通連合、ベルリン-ブランデンブルク交通協会(VBB/Verkehrsverbund Berlin-Brandenburg)によって管理されている。

縁石にタイヤのサイドウォールを当てるように止めると停留所との段差はほとんどなくなる
縁石にタイヤのサイドウォールを当てるように止めると停留所との段差はほとんどなくなる

 ベルリン首都圏のゾーン(A/B/CのうちCゾーン)に組み込まれていることから、ベルリンの1日乗車券を購入すれば、ポツダムの市内のあらゆる交通機関の利用が可能だ。

 ポツダム市内の主となる交通機関はトラムで、5路線30キロの路線が張り巡らされている。そのトラムは、中央駅前と市街地を結び、放射状に路線が広がっている。

 路線バスは、そのトラムを補完する形で路線網が形成されており、中央駅以外にも、トラム停留所を起終点とする路線が設定されている。

多くの路線が乗り入れるポツダム中央駅前のバスターミナル
多くの路線が乗り入れるポツダム中央駅前のバスターミナル

 ただ面白いことに、先に挙げた有名観光地は、いずれもトラムの沿線にはなく、すべてバスを利用しなければならない。

 トラムは主に鉄道と路線バスの間くらいの、中量輸送が求められる地域に運行されるが、宮殿のような観光地の多くは、団地や商店が隣接する市街地にはなく、郊外に位置していることも影響しているのだろう。

 実際に、そのツェツィーリエンホーフ宮殿とサンスーシ宮殿の2カ所を、路線バスを使って巡ってみた。ポツダム駅前には、それぞれトラム乗り場と路線バスターミナルが並んでいる。

ポツダムの停留所には発着案内表示が組み込まれている
ポツダムの停留所には発着案内表示が組み込まれている

 ところがポツダムの路線は600番台というかなり大きな系統番号で、いきなり面を食らう。通常、数字の大きな系統は、郊外へ向かう路線で使用されることが多いからだ。

 ベルリンの広域首都圏ゾーンに含まれており、その郊外に位置しているのだから当然と言えば当然だが、慣れないと何となく不安になる。

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