■工場地帯の中のパワースポット
そんな役場庁舎を横目に、次のバスが来るまでの間に近くにあるパワースポットに参詣した。徒歩で8分ほどで着いたのは飛島善光寺である。その名の通り長野県にある信州善光寺を通じて御分身仏を勧請し、1905年(明治38年)に飛島善光寺本堂が建立された。
飛島善光寺の御本尊「一光三尊阿弥陀如来」は、信州善光寺の御分身として安置されている。古来より「一度の参拝で必ず往生できる」との御利益が伝えられ、人々の深い信仰を集めてきたという。
全体を見てみるとサイズはもちろん違うが信州善光寺の本堂に似たような形をしている。周りには人もおらず、庭の手入れをしている人がいるくらいで静かな境内であった。ゆっくりとお参りし再びバス停まで戻ることにした。
飛島村役場に戻るとちょうど次のバスがやってきた。今度のバスも三重交通カラーの車両だ。蟹江線という路線名はあるものの、系統番号があるわけではないので前面に表示された「公民館分館」という大きな文字に少々驚きと新鮮さを感じる。
乗車すると今度はすぐバスは走り出した。途中道路上で飛島バス専用カラーリングの路線バスとすれ違い、あとはのどかな風景が続くところをバスは進んでいく。飛島村役場を出て約15分ほどでこの蟹江線の終点「公民館分館」バス停に到着した。
ここまで乗車したのは筆者1人であったので降車を確認したらバスはすぐ転回して敷地端に沿うように停車した。公民館分館という場所なので飛島村の施設があるのだが道路向かいに立地しているのと、木々が植栽されているのでどこにあるのかぱっと見は分からない。
そして周辺の景色もここに来ると一変し、工場が立ち並び道路には大きなトレーラーやトラック、大型フォークリフトが行き交う工業地帯という風景になる。これもまた飛島村の風景で、この臨海工業地帯には多くの企業が立地しており多くの人が働いている。
飛島村の人口は2026年4月1日現在4,670人であるが、昼間の人口はこの3倍近くに膨れ上がる。この従業員などの輸送を担っているのが次に乗車する名港線である。
■コミュニティバスが高速道路を走る?
先ほど乗車した蟹江線とは違った側面を持つ名港線は公民館分館から臨海工業地帯を巡り、名古屋市にある名古屋港駅までを結ぶ路線バスである。名古屋市へは飛島インターより伊勢湾岸自動車道を通るルートとなっており、高速道路を走るコミュニティバスなのだ。
次の名港中央インターで降りて名古屋市港区内を走行し、途中あおなみ線と接続している稲永駅や、地下鉄と接続している築地口、名古屋港に停車するので名古屋駅や金山駅方向にも移動可能と利便性もいいようだ。平日は27本、土日祝日は17本が運行され約30分で結んでいる。
10分ほど待つと名港線のバスがやってきた。高速道路を通るので使われているバスは高速車だ。村が運営するコミュニティバスという形で見ると豪華な車両である。そして先ほどすれ違った路線バスと同様、このバスも飛島バス専用のカラーリングとなっている。
全体がライトグリーンで黄、ピンク、青のラインが描かれた車体で運行事業者である三重交通の文字と前面にはマークも確認できる。もちろん三重交通としてこの車両で運行しているのはここだけなので違和感はある。バスはしばらく臨海工業地帯を進んだあと他のトラックなどに紛れ込むように飛島インターから伊勢湾岸自動車道へと入った。
工場が並ぶため何かが写り込むと機密にも関わるからだろうか、乗車時に厳しく撮影について注意されたため車内での撮影はできなかったが、伊勢湾岸自動車道に架かる名港西大橋から見渡す名古屋港や遠くに見える名古屋駅周辺の高層ビル群はとても素晴らしい風景であるので、乗車する価値はあるだろう。ちなみに名古屋港から飛島村へ向かう下り線だと、すぐ眼下に金城ふ頭にあるレゴランドを見下ろすことができるので見逃し注意だ。
筆者は終点手前の「稲永駅」バス停で下車した。あおなみ線に乗り換え名古屋駅に向かうことができるからなのか、乗車していた半数ほどが下車したようだった。なお運賃は1乗車500円で、支払いは現金のほか交通系ICカードも利用できる。臨海工業地帯内での下車の場合は1乗車200円だ。降車が済むとバス停を離れ、名古屋港を目指して走っていった。






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