路線バスにて運賃収受を行うのが“運賃箱”。ICカード対応はもちろん、紙幣の両替など際立った多機能を誇る日本の運賃箱は、日本の“おもてなし”の象徴のひとつといえる。
ワンマンバスとなり、運賃収受をする“箱”として登場した運賃箱。いまでは乗車地及び降車地、バス停ごとの乗車人数など、さまざまな情報収集を行い、各バス事業者におけるより効率的な営業運行をサポートする情報発信基地といってもいい存在となっているといえよう。
取材・文/小林敦志(バスマガジンvol.97より)
バス用蛍光灯開発からバス市場へ参入したレシップ
レシップは三人の創業者が岐阜県の華陽地区で創業した、“三陽電機製作所”がそのはじまりとなる。ネオン変圧器やトランスなどの製造を行っていたが、1951年にバス用蛍光灯の開発に成功し、バス市場へ参入。今回取り上げている運賃箱は1970年に開発している。
「路線バスの運行が運転士と車掌の“ツーマン”から、運転士のみの“ワンマン”運行が主流となる過渡期に運賃箱の開発に成功しました」(レシップ株式会社 営業本部 営業推進部 副部長 大野康昭氏)。
レシップはいまでは、運賃箱や照明機器はもとより、降車ボタン、運行管理システム、車内表示器、LED式行先表示器など多くのバス機器をラインナップしている。
●LFZ-C型
「運賃箱というものを開発したことで、ビジネスの“幅”が広がりました。運賃箱があるなら、乗客に運賃を知らせる“運賃表示器”や、整理券発行器も必要となるのではないかということで、まずは運賃箱、運賃表示器、整理券発行器をセットにして開発を進めました」(大野氏)。
いまでは、アメリカやシンガポールをはじめ、世界各地の路線バスでレシップ製のバス機器が採用されている。 顧客ニーズや時代の変化へ柔軟に対応してきたことが、今日の多彩な製品ラインナップへつながったといってもいいだろう。
●LFZ-C型で1万円札を実際に両替してみた