日本民営鉄道協会と民鉄キャリアトレイン参加78社は、ライフイベントなどで就労継続困難な社員を相互で受け入れる「民鉄キャリアトレイン」を拡大し業界内で人材やノウハウの確保に取り組む。バス運転士不足問題が深刻化する中で鉄道業界は一歩先を行く。詳細を見てみよう。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■社員の相互受け入れの仕組み
民鉄業界では、結婚や配偶者の転勤、家族の介護などにより会社を退職し、他地域に転居する社員の将来的な増加と、社員各人が保有する鉄道等に関するノウハウの業界内での活用などが業界の課題と考え、2018年に日本各地の大手民鉄各社で、ライフイベントなどに伴い勤務場所の都合で就労継続が困難となった社員を相互で受け入れる本スキームを立ち上げた。
昨今の民鉄業界は、労働人口の減少や経済活動の回復状況、働き方改革など様々な要因による人材不足への対応が深刻な課題となっている。この課題に対し、同協会ではこれまで大手民鉄各社で実施されてきた本スキームの対象を、中小民鉄事業者まで拡大し、業界内における多様な働き方の実現や人材確保・ノウハウの継承等に取り組む。
民鉄各社は、鉄道事業を基盤に、不動産事業をはじめ地元の生活に密着したビジネスモデルを展開することで成長を続けているが、参加各社は各社でノウハウを獲得した人材を民鉄ビジネスにおける「共通財産」と捉え、相互に即戦力として活かすことで、優秀人材に活躍の場を提供する。
また各社社員にとっても、ライフイベントによらず民鉄ビジネスのキャリアを継続可能とすることで、働きがいや働きやすさを享受できることが期待できる。
■大手から中小までさまざま
この仕組みに参加する鉄道会社は78社だが、主に民鉄協会加盟会社なのでJR貨物を含むJR7社や公営交通は参加していない。例えば東京メトロ(東京地下鉄)は参加しているが、都営地下鉄(東京都交通局)は参加していない。
それでも広く日本をカバーするネットワークは、各社社員のさまざまな都合で退職を余儀なくされる事情でも、異動先で新たな鉄道会社でキャリアを生かせる仕組みとして注目に値する。
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