■案の定やらかす!
人は緊張すると普段は忘れないことでもパッと頭から抜けてしまうことがあるものだ。新宿駅西口の乗降場は複数の行先が共有している関係上、降車と乗車を分離してスムーズに着発するようになっている。
乗客も複数のビル関係者だけなので、それをわかっていてちゃんと並んでいるのが何とも日本人らしい秩序正しさだ。そしてこともあろうか見極めの審査中にやらかしてしまったのだ。なんと、降車場所を少し行き過ぎてしまい乗車場所にバスを付けてしまったのだ。
東京都内の主要な道路はガードレールがほぼ完ぺきに備わっているので、停車位置を間違えると中ドアを開けても歩道に降りることができないという悲劇が待っている。
取れる手段は一つしかない。後退して正しい停止位置に戻すことだけだ。それはいいのだが、バックするということはそれだけ危険を伴い、余計な手順が増えることになる。停止位置を間違えてことが減点になるのかどうかは知る由もないが、とにかく乗客が乗っているのだから何とかしなくてはならない状況だけは変わらない。
まずは乗客に停止位置を修正する旨を告げて降車を待ってもらう車内放送を入れる。そしてバックの手順を踏む。この手順を間違えれば間違いなく減点対象だろうから、決められた手順に従い後退をして正しい停止位置にバスを停めて降車させる。そのままスルスルと前進して乗車位置に付ける。
■20分くらいじゃなかったの?
こうして減点なのか合格なのか不合格なのかよくわからないまま試験官は1時間近くも乗り続け、新宿駅西口で降車した。降り際に「素晴らしい運転でしたよ!」との言葉を残して。
この瞬間、合格を確信してホッと胸をなでおろした。萱沼教官が戻ってきて「これでようやく肩の荷が下りたよ!」と言ってくれた。これで社内的には一人で営業運転ができる資格を得たと思って間違いないだろう。問題はいつから営業運転を行うかだ。これが次の懸念点になるのだろう
ともかく、見極めの審査は合格したようなので、その日は夜遅くまでの仕業だったが、安どと次への期待と不安が入り混じった複雑で不思議な気持ちで帰路についた。
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