臨時運転士として訓練を続けるバスマガジン記者の奮闘記は、記者の不注意でバスとは関係のない骨折で全治3か月を経てようやく復帰。空車教育からやり直して大丈夫だという判断をもらい営業教習に戻ることになった。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
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■再・営業教習1日目
前日に仕業の確認電話を営業所にする。正社員であればすでに交番は決まっているのだが、毎日出勤するわけではない記者の場合は前日に確認しなければ、明日の出社時間すらわからないのだ。電話口で運行管理者が「古川さんね~。明日は新宿ファーストのBですね」と告げられる。これは新宿での企業契約による2点間輸送のシャトルバスを担当することを意味する。
フジエクスプレスでは出庫の20分前が出社時刻と決められているが、慣れない記者は概ね40分前には出社して準備であたふたしている。よって所定の出社は7時10分、7時30分出庫なのだが、6時30分には到着していればよかろうという計算である。ちなみに終わる時刻、すなわち入庫時刻は21時である。出庫から入庫まで13時間30分のロングラン仕業ということだ。
実際に13時間も運転し続けるわけではないので、さすがに疲れはするものの苦行の域ではない。乗客が出勤する朝ラッシュと退勤する夕方のラッシュは大変だと思われがちだが、その時間帯はダイヤに相当なゆとりを持たせているので、記者の場合は遅延するのはむしろ日中の時間帯だ。どちらも別の意味で大変なことには違いないが、ストレスに感じるダイヤではない。
■鬼教官再登場!
再訓練の営業運転初日は以前に登場した鬼教官こと萱沼教官である。久しぶりに会うので「あら?どうしたの?久しぶりじゃない!」とあいさつを交わし、出発点呼を受けて出庫する。芝浦の車庫から新宿に向かう回送で記者の3か月間の経緯を説明し、定刻よりも早めに到着。トイレ休憩をはさんで営業運行に入る。
もはや運転そのものに不安はないので、いきなりラッシュ時間帯のダイヤから記者が運行に入ることにした。前述の通り、ラッシュ時間帯の新宿は全員が出勤時間なので電車もバスもタクシーもラッシュモードだ。よって深刻な渋滞こそ発生しないものの、乗降に時間がかかり乗降場所が混雑するのでダイヤには余裕時分が見込まれている。
さほど遅れることなく朝ラッシュは終了し、乗り継ぎの運転士にバスを引き渡す。いくつかのパターンはあるが、別の運転士に車両を引き渡す場合は、次に引き渡されるまでの間が休憩時間である。西新宿の一等地にはちゃんと休憩所が確保されており、そこで休憩しても良いし食事に出かけてもお茶をしても良い自由な時間である。
そうして何度かバスを引き渡したり引き受けたりしながら、合計数時間の休憩をはさむ仕業である。疲れただろうと萱沼教官が数周回の運転を交代してくれたので、その間は車掌として乗客対応や安全確認等の補佐をする。
■最後の引き渡し後に便乗回送
夜まで所定の運行を終えると、別の運転士に車両を引き渡し、この仕業の場合は便乗回送で車庫に戻る。別の路線で運行後に車両を芝浦の車庫まで持って帰る回送仕業の運転士に乗降場所まで迎えに来てもらい、その回送バスに便乗して人だけが入庫するのだ。
便乗回送の場合は、人だけが戻ってくるので、車庫での給油やバスの点検作業や車歴簿の記載といった業務は、持って帰ったバスが存在しないので当然ながらない。人だけが営業所で到着点呼を受ければその日の仕業は終了である。
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