■運転士のストレスとは?
このようなバス停ひとつとってもバス運転士にはストレスなのだ。まずは物理的にバス停にきっちりと付けられないことである。バス停の後ろに駐車車両があると斜めに停車するか、路駐の車の車幅まで離して停車するしかない。
またバス停の前に駐車車両があると、今度はバス停から出るためのスペースがないので、やはり離れて停めるしかない。これ自体はその時の交通事情により臨機応変に停車すればいいのだが、東京都内の道路はほぼすべてにおいてガードレールが設置されているのでバス停の切り欠き部分に停車しないと乗降できないのだ。
バス停がある「その辺」ではダメなのだ。もちろん、雨が降っていて乗客が降車後に傘をさすことが予測できる場合は、傘の広さ分だけ歩道から離して停車させることもあるが、これは降車が多いターミナル駅等のバス停だけだ。
そして最大のストレスとなるのが乗客からの苦情だ。前後の路駐車両のために入れない、または出るに出られないので斜めに停車したり歩道から離れて停車したりと、やむを得ない事情なのだが、乗客は大型車の特性や車線に戻るためのスペースは分からないのだ。
よって記者はそんな経験はないが、乗車した途端にもっと歩道に近づけて停車してくれとか、なんでそんなに離して停めるんだとか、苦情を言われることがある。一言、苦情をいわれてもそのまま乗ってくれるのであればいいのだが、そこから長々と苦情が始まるとたまらない。
乗車して発車を待つ乗客もいるし、場合によっては苦情を言う乗客の後ろで乗車を待つ人もいるのだ。苦情はごもっともなのだが、それを言われている時間分だけバスは遅延する。記者の所属する事業者は回復運転が禁止されているので、ダイヤに余裕のあるバス停間があればそこで多少は自然回復できるが概ねそんな都合の良いことはなく、遅れを引きずったまま終点に到着する。
折り返しの場合は準備する時間も必要だし、休憩であれば単純に休憩時間が減る。次の運転士にバスを渡すのであれば、遅れたまま渡すことになるので次の運転士に迷惑がかかる。というようにいいことは一つもなく運転士のストレスとして残り続ける。
■苦情の対応は事業者による
営業所に苦情を言われた場合は事業者により対応が異なる。記者が記事を書くために実際に運転士として所属する事業者の場合は、明らかに「そういう」状況だったのだろうと分かる場合は運行管理者の段階で苦情処理が終わり、運転士にいちいち告げられることはない。よってその日の出来事は実際に苦情が入ったかどうかにかかわらず、小さなことでも運行管理者に報告して事例として知見が蓄積される風土があるようだ。記者も苦情が入ったと言われたことは今までで1度もない。
他の事業者の運転士からで聞いた話では、すべての苦情は運転士に告げられ、問い詰められて乗客と会社からのダブルで苦情のために心身をすり減らす事例もあるようだ。こうした事業者では今後は運転士が残らない可能性が高いが、それは事業者の姿勢の問題なので変えてくれとしか言いようがないが、そういうこともあるという話である。
特に高齢者は歩道から車道に降りて、ノンステップ車とはいえ車道から再度バスに乗車しなければならないのは面倒で足腰に負担がかかるのは理解できる。かといってバス停につけすぎて出られなければ運行不能になるので、できないものはできないのだ。
このような違法なバス停付近の駐停車により、結果的に運転士のストレスが増し疲れ切って辞める契機にならないとも限らないのだ。苦情はごもっともなのだが、バス停での停車方法がいつもと違う場合は必ず理由があるので、とりあえずバス停の前後を見て欲しい。そこに駐車車両があれば付けるのは無理なのだと理解していただければ幸いである。
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