少し前にフジエクスプレスに入社したと仮定しての空車教習体験取材をした記事を書いたが、実際に停留所に停車してドア扱いをして放送を流して、という手順を経験して感じたことをそのまま忖度なく書く。運転者や歩行者として交通にかかわる当事者として、願わくば路線バスの運行に協力してもらえればありがたいとの思いからである。
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
取材協力:富士急行・フジエクスプレス
(写真は記者が実際に運転した際のものですべてイメージです。本文とは直接関係はありません。)
■乗客対応はしていない
記者が受けた教習はあくまでも空車教習なので、乗客対応はしていない。乗客は教官とカメラマン役のフジエクスプレス社員だけである。よって運賃箱操作等の運賃収受や、実際の旅客案内はしていない。
点呼、車両点検、営業所から始発地までの回送、全停留所に停車してのドア扱い、放送装置の操作、待機場所への入庫、営業所までの回送、点呼までを行っただけだ。その条件で運行して感じたことを書いていく。
ただし慣れの問題で、プロの運転士ならば気にならないこともあるかもしれないが、それは職業運転士をしたことがない記者の感想なので、ご勘弁いただきたい。短時間の空車教習でも多くの事を感じることができたので、本稿で触れることができなかったことについては、折に触れて稿を改めて紹介したい。
■路駐ははやめてくださいよ!
車線がいくら多くてもバス停は左側の歩道にあるので、路線バスは基本的に左側の車線を走行する。そこに路上駐車があると、バスは車線変更してやり過ごさなければならず、その都度の確認やハンドル操作が増え、場合によっては停止を余儀なくされる。
交通の流れとしては当たり前の運転だが、運転操作が増えると事故発生の要因が増える。この場合の事故とは車内事故の事である。
もちろん、一概に路上駐車と言っても荷物の積み下ろしからタクシーの乗降等の一時的なものもあるのですべてがいけないわけではない。しかし荷役の時間待ちトラックやタクシーの休憩のための路駐は、できれば指定された待機場所があればそこで、またはバス路線以外の道路で行ってほしい。
■バスベイさえ空けていればいい……んーなわけないだろ!
東京都内は比較的バスベイやペイントがきっちりとあるので、バス停であることは一目瞭然だ。さすがにバス停の区画での路駐や、乗降のために停車しているタクシーを見かけることはあまりない。
その代わりに、バスベイの前後にはぎっしりと駐停車している車両が多い。ダメではないのだろうが、記者の運転したバスは中型路線車で9m、大型路線車なら10.5mから11mである。バスベイの前後にきっちり停車されては長いバスは入れないし出れない。
仕方がなくバス停から離れた場所や頭をバス停に斜めに向けて突っ込んでに停車することになる。そうするとせっかくバスベイがあるのに、バスが車線をふさいでしまい後ろが渋滞する。ペイントがある部分はもちろんだが、その前後も空けておいていただけるとありがたい。
記者が慣れないバスベイで四苦八苦している最中にフジエクスプレスの教官が放ったひとこと「バスはカニみたいな動きはできないのでね、こういう駐車をされると入れないんですよ!」が言い得て妙だった。
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